乙一氏、角川スニーカー文庫では二冊目の短編集。表題作他、2編が収録されています。いやぁ、どれも堪能いたしました。満足(^-^) で、せっかくなので(←何が?)各作品にコメントを。
内向的な高校生2人の、幻の携帯を通じての交流と突然の別離。ラスト近くになると、もう涙腺緩みっぱなし。最後のリョウの独白にも、また涙ぐみました。少しやりきれなさを感じはしたけれど、成長したリョウの姿は救いでした。
大人の身勝手で傷つき、それでも涙を見せずに生きる「オレ」も、呆れるぐらいに純粋さを保つアサトも哀しい(;_;) 今後、彼らには幸せになって欲しい。万が一、幸せになるのに資格がいるとしても。彼らは十分過ぎるほどの代償をその幼さで払ったと思いますから……
最後で、「引っかかったーっ!!」と叫んだのは、果たして私だけでしょうか?(苦笑) まぁそれはともかく。ちょっと地の文を変えてあるだけなのに、レトロな雰囲気が漂うのだから凄い。「スニーカー読者層には受けないかも」というようなことがあとがきに書かれていましたが、乙一氏のファンとしては素直に良い作品だと感じました。
さて。あとがきを読む限り、しばらく新作は発売されないのかなぁ。作品の質が下がるよりは百倍いいですけれど、残念だなぁ。うぅむ、ここはやはり編集さん。上海蟹でも何でもいいから美味しいものを作者に奢って、定期的に新作を!(笑いつつ目が真剣)
感想を書いてなかったけれどお勧めなこのシリーズ、ちょっと引っ張り出してきました。短めの感想で行きます。
「ホームコメディ?」と思って読み出したのですが……そんな、ほのぼのしたものじゃあありませんでした(^_^; 最初のほうはよくありそうな話の進みなのですが、あのラスト。「ちょっと待てっ!?」と叫んだのは、私だけではないはず。
練&千華子・ジャングルでサバイバル編。1巻の終わりが終わりだったため、どきどきしながら読みはじめたら、日本の家族がほのぼのしてる場面から。初読の時は、「それはそれとして、子供二人はーっ!?」と、ひたすらやきもきしながら読みましたな。
ジャングルを彷徨う2人、冷静に考えるとかなり悲惨な状況の筈なのですが。手持ちの装備だけで前向きに頑張ってくれるからか、不思議とからっとした、楽しそうな感じまでしてきます。かといって、自分があの状況に叩き込まれるのは絶対に嫌だけど。
この巻でも、練&千華子のサバイバルは続きます。一方、子供たちと離れ離れになっていた賢&千鶴子ペアが行動を始めるのもこの巻。そして、また最後は……完全に非日常の世界に巻き込まれてしまった練に合掌。
千華子を人質にとられ、先住民族の「成人式」への参加を強要された練。果たして練は、無事に生還できるのか。一方、千華子もとんでもない状況に……というのがこの巻。まさに手に汗握る展開――を通り越して心臓に悪い。
しかしとりあえず、「ニコ、あんた何者?」の一言に尽きる気もする。5巻を読んだ今でもよく分からんし(苦笑)
さて。今月発売された第5巻。革命新政府の考えはなかなか面白そうだなぁ、などと思ってみたり。
子供たちをなんとか見つけ出そうと四苦八苦している賢&千鶴子。これまで役立たず状態に陥っていた千鶴子が、「できる女」の面目躍如とばかりに行動してます。個人的に、「絶対に子供たちを取り戻して見せる」という決意は嬉しく思いました。
一方、練の場面。ろくに気配を感じさせずに現れる『王』の存在にもう冷や冷やさせられました。
ラストは、ところどころで出てきていた描写で、「……まさかね……?」と思ってはいたのですが、まさか本当にくるとは。……というか、もしかしなくても最大級のピンチじゃないか(汗) ここまできたら、皆生き残れよー。
前作『殺竜事件』が期待ハズレだったので買おうかどうか迷ったのですが、結局は購入。今回は、双子の性悪戦地調停士・ミラル&キラルが京極堂……もとい、探偵役。
ミステリとしてはやはり首を捻りますが(そもそもこの作品世界では「何ができて何ができないのか」がいまいち分からないのがなぁ)、それでも意外と面白かったです。……前作と違って、あまり期待してなかったからかも(苦笑)
双子は思っていたより普通な性格だな、という感じ。特に姉は前作の情報から全然喋らない、不気味なキャラなのかと思ってたけど、そんなことないし。でも、この双子は割と好きかな。少なくとも、前作の3人組よりは。
しかし姉。何故に彼に惚れてるんだろう……? 知り合った当初、仲が険悪でなかった頃にでも何かあったのだろうか。
動乱の時代を迎えようとしている大陸に、新たな時代を切り開く百の星が集うという、スケールの大きな物語。これまでに何度か新刊予定に載りつつも、その度に延期になっていたので心配していたのですが、今回はちゃんと発売。よかったよかった。
今回はついに<イルディガルの双頭の鷹>アクアレードとルヴィラードの再会が。ここまで来るの、長かったなぁ(しみじみ) そして、ルーンガルド帝国から亡命してきたゴード・ジマー将軍も、ルヴィラードの妹姫・フェリアナと出会います。なんのかんの言いつつリアルタイムで読んでるから、フェリアナの変化が嬉しいというか何というか。そう思う一方で、フェリアナの乳兄弟・リュードが鬱陶しく感じて仕方がない……彼女の立場からすれば、ああなるだろうとは思いますが。それでも度を超した過保護は、見ていて少し気分が悪くなるのです。
ところで、今回出てきたスラカトゥス将軍。彼も百星なのですかねぇ? 個人的には、そうであってほしいのですが。違っても、敵役としてのレギュラー化希望。……いやぁ、結構好きな感じっぽい小父様なので(^_^ゞ
さて次巻は……上手くいけば、ゴード・ジマー将軍とアクアレード&ルヴィラードたちが出会うのでしょうか。それとも、いきなり別の国に飛ぶとか!?……それはさすがにないだろうけど。なんにしろ、何時頃発売になるのか期待して待ってます。
昨年冬眠からお目覚めになった作者さん、今回は初の上下分冊&これまでの3部作と異なる世界観の物語です。
珍しく(むしろ初めて?)純粋に「嫌なヤツ」が出てきたりしてますが、作品の雰囲気自体は相変わらずなので、安心して読めます。この方の作品は「それはないだろう」と言いたくなる位のまっすぐさが良いですね
「早く続きが読みたいー」と読後にのたうちまわってしまったほど、なんとも極悪なところで終わってます。ようやく主人公が話の本筋に絡みだして、話が盛り上がってきたところで「下巻へ続く!」ですし。
ミリセント周辺の人間関係は大体想像つくのですが……でも、なんだか辻褄が合わないところは出て来るんですよね。まぁ嫌でも下巻で種明かしがあるでしょうから、それまであれこれと考えて楽しんでおきます。