■ 2000.9月読書記録

 9/2 『双星記1 千年に一度の夏』[荻野目悠樹/角川スニーカー文庫]

 千年に一度の太陽大接近期<夏>を迎え、生き残りをかけ人類初の惑星間戦争に突入した、二つの惑星の物語。

 ……読み出して数秒で、溜息が出ました。雰囲気が明るいのが残念で……いや、何でそれで溜息?と言われると困るんですけど。やっぱり荻野目さんの作品は、登場人物のいじめっぷりが印象深いもので。例の三作品程とは(さすがに)言わないけど、シイン程度のいじめは見せて欲しいんだけどなぁ。←何を期待してるんだか。私も(苦笑)

 良くも悪くもはじまったばかりですから、次に期待ってところです。……でも、やっぱり個人的には兇王子――無理なら大地物語のほうを、早く読みたいかなぁ。

 ところで、ランディスヴァーゲン(…無茶苦茶言いにくいな…)のやる気の無さと、才能はあるけど戦争嫌いという設定、そして指揮する艦隊が『十三艦隊』というのに、銀英伝のヤン・ウェンリーを思い出したのは私だけではないと思う(笑)

 

 9/14 『カラミティナイト -Calamity Knight-』[高瀬彼方/ハルキ文庫]

読書好きの少女・智美は、通学途中に偶然、編入生――<災厄>をその身に宿した遠野忍と出会った。彼の悲惨な境遇を知った智美は、親友・優子の制止も聞かず、彼に同情を寄せるようになっていく。そして、災禍の夜が訪れる……

 本屋で偶然見つけて、暇つぶしになるかな~と大して期待せずに買ったんだけど、意外と面白かった。私、こういうちょっと(?)暗めの話、好きですし。←悪趣味。

 登場人物たちの心理描写が割とリアルで、しかも設定年齢も比較的近いためか(誤差五歳程度だし。近いですよね?)なんとなくですが、その心境が理解しやすかったような。おかげで、思わず我が身を振り返ってしまいました(^_^;

 ……しかし雪村先生は怖すぎます(涙) 私、悪役系のキャラにはよく惚れ込むけど、この人は純粋に怖かった。つーかストーカー系は、あまりにも不気味すぎ・理解不可能だから嫌い(汗) ……ふと思ったんだけど、この人って本当に四番目の『騎士』――古都子さんの恋人だったのかなぁ? これまで妄想だったら、本っっっ気で逃げますよ。私。

 9/21 『銀河英雄伝説 野望篇(上・下)』[田中芳樹/徳間デュアル文庫]

 この巻は、帝国・同盟の双方で起こった内乱がメイン。目当てのイラストは、ラインハルトとロイエンタールの絵がいい。ああもぅ、これだけで今後の展開を思わずにはいられないです。ちなみに、表紙は帝国はキルヒアイス、同盟はジェシカ・エドワーズ。……あれ? よく見たら今回はヤン、後姿ばっかりだ(笑)

 ここから下、ネタばれありの感想なので一応隠してます。反転させて読んでください。

[オーベルシュタインが、ヴェスターラントへの核攻撃を黙認するよう進言したのは、甘いと言われようがなんといわれようが許せないものがある。大体、これを見過ごしたことが表面化すれば、今度は逆に自分たちの首を絞める結果になるって、気がつかない人ではないだろうに。……この人のことだから、事後にはかなり徹底した情報操作を行っただろうし、万が一にも事態が表面化してラインハルトが窮地に立たされたら、迷わず自分が全責任を負うつもりだったのだろうけど。……それでも、本当にこれだけはやって欲しくなかった。

 そして、キルヒアイスの死。最初は「こんな早くに!」と思ったけど、今になって読み返してみると、ここ以外での退場が考えられなくなってましたわ。だってここで消えないと、ラインハルトとの確執がますます深くなっていって、最終的にはロイエンタールの役割がキルヒアイスになってしまいそう。さすがにそれは見たくない……。

 ……ところで、個人的にはこれが何でオーベルシュタインのせいみたいに言われるのか疑問なんですけど。まぁ確かに、キルヒアイスの待遇を他の提督と同じくするようにとラインハルトに進言したのとか、ラインハルトとキルヒアイス、二人の関係をこじれさせるきっかけになったヴェスターラントの虐殺に関しては、オーベルシュタインに責任があるから完全なシロとは言わないけど。でもこれは、純粋に警備体制の甘さのせいではないの? ボディチェックぐらいやれって。つーか、侯爵&元帥にまでなったんだし、さっさと親衛隊ぐらい置け、と言いたくなるんですけど。それに、ファーレンハイトでさえ手錠掛けられてたのに、ブラウンシュバイク公の側近中の側近だったアンスバッハが何故ノーマーク? う~ん、分からん。]

 ……って、気がついたら帝国の話ばっかり。イラストの影響かな? まぁこの巻は、話的にも帝国のほうが大きく動いてるますしね。……しかしつくづく思うけど、完全に銀英伝マイブーム再来してるよなぁ。最近(苦笑)

 9/26 『桐原家の人々3 恋愛統計総論』[茅田砂胡/中央公論新社・C☆NOVELS FANTASIA]

 どこまでもマーペースな桐原家を襲う(?)トラブルを描く、ファミリーコメディ。……本当に何でこれがルビーで発売になってたんだろう? いや、一応それっぽい描写も、ほんの少しだけあるけど。今の、あの手の作品に比べれば子供のじゃれあいレベルだしね(苦笑) それはさておき、今回は桐原家の長男(?)・零ちゃんを中心に物語は進みます。

 相変わらず、随所で「それでいいのか?」と呟いてしまいますね(^_^; 特に、ウエディング・ドレスで神前は、ねぇ……。本人がいいって言ってるんだから、いいんだろうけど。神主さんたちは戸惑っただろうなぁ。

 眞己と都は、ご愁傷様(笑) 女子高生ってそういうネタ好きだし、当分(下手すりゃずっと・笑)噂になることは、保証できますね。……一応断っておくけど、私はそっち系、あまり好きじゃないですよ……読めなくはないけど。

 9/27 『回転翼の天使 -ジュエルボックス・ナビゲイター-』[小川一水/ハルキ文庫]

大手航空会社で働くフライトアテンダントを夢見ていた夏川伊吹。しかし、彼女がなんとか就職できた『ジュエルボックス・ナビゲイター』社は、地元の弱小ヘリ会社だった!

 主人公が異世界で活躍する話でも現代を舞台に魔物と戦ったりする話でもなくて、ヘリコプターレスキュー小説です。現実的なフィクションってことで、雰囲気的にはERっぽいかなぁとは、勝手な印象。……これだけ書くと、なんかこれってライトノベルじゃない気がしてきた……

 それはともかく、この作者さんの別の作品が割と好きなので買ったんですけど、良かったです。主人公たちの連帯感というか仲間意識もいい感じで。あと、ヒロインの伊吹が徐々に自分の仕事にやりがいを持っていく過程などは、読んでて少し羨ましかったかもしれない。いや、現状には満足してますが……今後はそれなりに不安なもので。

 ……しかし密かにあたりが多いぞ、ハルキ文庫。最初はあんまり期待してなかったのに(笑)

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