■ 2004.3月読書記録

 3/1 『彩雲国物語 黄金の約束』[雪乃紗衣/角川ビーンズ文庫] →【bk1

後宮でのダメ王様教育でしっかり稼いだお金を使い切って、貧乏に逆もどりした名門(少なくとも名前だけは)のお嬢様、紅秀麗。新たな仕事口を探していたところ、先日の一件以来懇意になった若手官吏の絳攸から思いがけない話が持ちかけられる。猛暑で体調不良者が続出し人手不足に陥っている外朝で、臨時の雑用係をする気はないか、と。

 ビーンズ大賞出身の新人さん、2作目にしてデビュー作の続編。……こういうパターン、やっぱり多いですよねー。

 それはさておき感想。やっぱりテンポよく気軽に読めて良い感じです。キャラが増えたことが影響してか話がちょっとごちゃついてる印象もありますが、この辺りは作者さんが慣れてくれば何とかなる範囲かな、と。

 登場人物の話。秀麗がもう完全に夢を追うことに専念してるので、前途は果てしなく困難でしょうが、とりあえず王様頑張れって感じですね(笑) あと気になるのは、最後のあれ。あれって、やっぱりそういうことなんでしょうか。だとしたら、正直かなり微妙だと思うのは、私だけでしょうか。

 しかし、女の子が秀麗ぐらいしかいないのは寂しい気がする(珠翠はほとんど出番ないし) 今後シリーズ化されて続刊が発売されるなら、ライバルキャラぐらいは登場して欲しいところ。某乙女向けゲームでいえばロザリアとかレイチェルみたいな感じの(←個人的趣味に走りまくった発言)

 3/2 『レディ・ガンナーと二人の皇子(上)』[茅田砂胡/角川スニーカー文庫] →【bk1

エルディア王国で請け負うはずの仕事がキャンセルされてしまったインシードの用心棒四人組。浮かない顔の彼らの前に王家に連なる大公家の家臣たちが現れ、ヴィンセントに命を狙われている皇子の身代わりになってほしいと依頼する。一方、父に同行してエルディアを訪問したキャサリンは、王位継承に関する奇妙な風習に納得できずにいた。

 暴走お嬢様と愉快な仲間達のお話、第4弾前半。

 感想。良くも悪くも、まぁいつものパターンといいますか。主人公側の論理(=正義?)をもって古い因習や差別を打ち砕く!ってノリで話は進みます。ただ、今回はお嬢様の爆発はないので(怒りを溜め込んでいる状態)、自然とフラストレーションが溜まりますね。つーか、今回のは「因習」の一言で済ませるにも程があるだろうと思ったり。今さらこの方の作品にリアリティを期待するのは……でしょうが、やっぱりねぇ?
 それから個人的には、お嬢様の行動などが微妙に引っかかりはじめてきていたり。なんといいますか、腹が立つのも分かるし正義感強いのも結構だけど、もうちょっとTPO考えて動かないとだめじゃないか?と思うんですよねー。14歳ぐらいじゃ、まだそこまで考えられないかなぁ。

 まぁなんだかんだ言いながらも、下巻でどうまとめるかはそれなりに楽しみな訳ですが。ある意味今回の問題は、肝心の下巻刊行が秋ってことじゃなかろうかと思うんですがどうでしょう(乾いた笑い)

 3/3 『流血女神伝 女神の花嫁(後編)』[須賀しのぶ/コバルト文庫] →【bk1

 架空歴史ファンタジー「流血女神伝」の外伝、待ちに待った最終巻。今回は、ザカール人としても特殊な位置にあった女性・ラクリゼの運命の岐路と、一つの国の滅亡が描かれています。

 ラクリゼが女神と契約を交わしたことからすれ違い始めた、サルベーンとの関係にはなんとも言えず。サルベーンは子供が喪われたことでラクリゼと距離が出来てしまうのかなぁ、と単純に考えていたのですが、それだけに留まりませんでしたね……。それにしても精神的荒廃云々じゃなく自分の意志で進む方向を選んだ以上、もう最後まで止まらずに進んでいくのだろうなぁ、と。そう思うと、いくらサルベーンに好意を持っていなくても、なんだか複雑な心境にはなってしまいました。この外伝を締めくくったトルハーンの一言が、また、ねぇ……。
 一方、多くの経験を経て、女神の加護に甘えるだけではない、強く凛々しい女性になったラクリゼ。ヨギナを脱した後の様々な想いを込めた彼女の誓いには、とてつもない重みを感じてしまいます。願わくば、彼女が誓いを守ってカリエの助けとなることが、彼女自身の幸せに少しでも繋がりますように。そして、「女神の花嫁」という言葉で示された、ラクリゼの宿命。この名が示すモノが一体何なのか。ラクリゼの今後の役割についても気になるところです。

 その他の登場人物の話。自分の願望を実現するために傭兵団と決別し、将来的には愛した子供を手放しさえするアリシア。人間だから当然嫌な面を持ち合わせているけれど、ラクリゼとは違った意味で彼女も強い女性だと思いました(……まぁ、教育方針が正しかったかは疑問だけど。エドもあんまり良い思い出がないみたいだし) アデルカは、中編を読んだときに想像した役回りとは違ったようで。女神にすら賞賛された彼の一途な想いには思わず涙。最期まで良い人でした……サルベーンとは対照的だよな、本当に。

 過去の話で一番の関心事だったヨギナ攻防戦は、後編の大半を割いて語られました。絶望的な状況での奮戦やギウタ皇族たちとの邂逅、悩み続けていたラクリゼがようやく出した一つの結論、そして愛した人の裏切りと掛け替えのない友との別離……と、読みごたえたっぷりな内容でした。これだけで一つの作品が書けそうだよなぁ、と思ったりして。で、ここで登場したちびカリエというか皇女カザリナは確かに素直で愛らしい子供でしたが、もしこのまま成長したら女神の試練に耐えられなかったでしょうねー。つーか個人的には、やっぱりカリエはいっそふてぶてしいと思うほど順応性が高くて、アホなりにいろいろ考えて行動してこそだと思ったり(←褒めてるのか?)

 さて、次はいよいよ本編再開。今度は「ザカール編」とのことですから、現ザカールの長老(になってるんだっけ?)であるラクリゼの弟は言うまでもないとして、ザカールの村を離れる際にラクリゼと苦い別れをした例の彼も関わってくるのでしょうかね? ともあれ、一体どんな展開が待っているのか非常に楽しみ。できるだけ早く新刊を!……と言いたいところですが。多少ペースが落ちてもいいから、あまり無理なさらず体調に気を配りながら頑張って欲しいです。やっぱり人間、体が資本ですから。

 3/4 『癒しの手のアルス -銀の遺跡に舞え-』[渡瀬桂子/コバルト文庫] →【bk1

ひょんなことから旅芸人(兼魔物退治請負業)の集団・ドレッタ一座に拾われたアルスとアーウィン。一行が訪れたダリオンの街での興行は連日盛況だったが、一方で最近街の周辺で魔物の被害が増加しているという物騒な現実があった。魔物騒動の原因は街の近く、テイルース山に眠る妖精族の遺跡にあるらしい。依頼を受けて騒動の解決に乗り出したドレッタ一座&アルスとアーウィンは、それぞれ苦い記憶と相対することになる。

 嘘つきコンビと彼らと関わった人々のドタバタ(ところにより涙ありの)物語、「癒しの手のアルス」の第2巻。

 相変わらず地味に良作という感じ。クライマックスで思いっきり騙されたために大泣きした前作ほどではなかったけれど、ちょっとほろりとする場面はありました。
 また、前作ではほのめかされる程度だったアーウィンの過去が明らかに。彼も苦労人だなぁ、としみじみ(←その一言で済ませるなよ) アルスはアルスで、どうしても自分だけで抱えるモノが多いし。共有できない痛みを抱えていても、二人は一緒に馬鹿をやりながら笑って生きていくことが、それぞれ救いになってるんでしょうねー。それからゲストのドレッタ一座の面々も、お約束ながら良い人ばかりでした。母娘のあの展開は思いっきりベタだと思ったけど、笑って「その通り!」と同意したくなったり。ついでに、勘違い暴走青年のウィル。うん、あれは言われなくちゃ分からないし、気持ちは分かります……つーか、やっぱり詐欺だよね。あの外見は……。

 で。今回は、やや後を引くというか普通に続刊がありそうな終幕で。シリーズ化されるなら、アルスとアーウィンが妖精族の謎に迫ったりすることもあるのでしょうか。

 3/9 『アリソンIII <上> ルトニを車窓から』[時雨沢恵一/電撃文庫] →【bk1

 幼馴染の少年少女と英雄さん&王女様が繰り広げるほのぼの(?)冒険物語『アリソン』、第3弾。このエピソードで完結するそうです。

 とりあえず、「序章の前・a」のあれに、ちょっと吃驚させられました。まぁ、アリソンは基本的にハッピーエンド路線だと思うから、下巻でどんでん返しが待っているんだろうなぁ、と楽観的に構えています。つーか、そうじゃないと凹む。

 今回の話は新たに開通した大陸横断鉄道に乗って旅行に出発したアリソンとヴィルたちが、思いがけない事件に巻き込まれてしまう、という内容。もっとも、事件が起こるのは後半になってからなので、それまではなんとかヴィルと良い雰囲気になろうとあれこれ画策するアリソンの姿に楽しませていただきました。また、表面上はあっけなく終わってしまったように見えた戦争も、やはり未だに様々な爪跡をしっかり残しているようで。「戦争を終わらせた功労者」としてあちこちから目をつけられている英雄さんことカー少佐も大変そうです。

 その他にも、あれこれ気になる展開で以下続刊。5月発売の下巻でどうまとめてくれるのか。色々予想しながら、楽しみに待つことにします。

 3/10 『タクティカル・ジャッジメント4 ろくでなしのリアクション!』[師走トオル/富士見ミステリー文庫] →【bk1

 司法改革で陪審制等の諸制度が導入された近未来の日本で、性悪弁護士が違法スレスレ……つーかそれはむしろ違法だろうというような手段を駆使して無罪をもぎ取る法廷劇第4巻。今回は、山鹿がひょんな事から関わったマルチ商法の会社で殺人事件が発生し……という感じで話が展開していきます。

 感想。梃入れを狙ったのか、今回は新検事が登場。山鹿の前に立ちはだかります。で、その東ヶ崎検事ですが……個人的には、なんかイマイチだったかも。いや、これまでの堀内検事よりは山鹿を出し抜いたりして手強かったと思うのだけれど。でも、なんとなく。次巻以降も登場するなら、巻き返しを期待したいところ。
 そんなこんなで、これまでになく苦戦するペテン……じゃなくて、辣腕弁護士の山鹿でしたが、こいつがやられっぱなしで終わるわけがなく。最後の最後でまたまたトンデモな行動に打って出ます。しかも、一度ならず二度までも。……個人的な意見ですが、やっぱりどう考えても普通にやりすぎではなかろうかと……まぁ、こういう戦術を取るからこそ山鹿なわけですが。

 さて。次回はなにやら舞台が移動する模様。やっぱり旅情ミステリ風の話になるのだろうかとか誰が登場するのかとか、色々と気になるところです。

 3/11 『双霊刀あやかし奇譚 2』[甲斐透/新書館ウィングス文庫] →【bk1

 大正時代を舞台に、ひょんなことから二つの霊魂の宿った刀を手にした少女が遭遇する、不可思議な事件と初めて抱いた恋心の行方を描いた物語。これにて完結です。

 いつもどおりと言いますか、今回も王道一直線な内容でした。普通に面白かったし良いお話だったと思うけれど、正直に言えばやはりもう一押しぐらい工夫が欲しいところ。まぁ、安心して読めるというのも決して悪くはないのですが。

 で。読書中は、早苗と兵衛介の想いの行方よりも、吉光がどうなってしまうのかに関心が集まってしまっていたのですが……うーむ、微妙に不満。吉光は兵衛介に比べるとどうしても描写が少なかった(と思う)こともあってか、あの展開やら描写がやや唐突に思えてしまったというか。台詞で語らせるのではなく、もう数話ぐらい退魔関係のエピソードを挟んで、彼らの背景や心情を自然にこちらに伝わるようにして欲しかったな、と思います。それから、好青年の高根沢さんは今作でも好青年でした。本当に良い人です、彼。夫婦仲良く、末永く幸せに暮らしてください。

 これまで発売された既刊を読む限り、基本的に王道&可愛らしい作品を書かれる作者さんなので、次回作がどんな作品になるのかそれなりに楽しみですね。

 3/12 『帝都・闇烏の事件簿 1』[真瀬もと/新書館ウィングス文庫] →【bk1

時は大正。帝都の庶民に大人気の怪盗・闇烏から何故かいつも挑戦状を受け取り、好敵手扱いされている下町谷中在住の探偵・柚谷高久。財政状況や有能な助手の北沢に丸め込まれ、しぶしぶながらも怪盗と対峙するハメになっている。一方、怪盗闇烏。その正体は子爵家の当主・藤木友也。実は藤木は現在放浪中の柚谷頼久――高久の兄の親友で、高久自身とも幼馴染の友人という間柄。もちろん高久は藤木が闇烏であることを知らないが、果たして友人を巻き込んだ藤木の思惑とは?

 真瀬もとさんの新作は、大正時代を舞台に繰り広げられる浪漫エニグマティカだそうです。……まぁ、普通に怪盗モノと思って間違いはないかと。とりあえず、騙されたと思って購入してみました。結果、セーフ。富士ミスで発売されてもあまり違和感なさそうな作品でした。

 感想ですが。1巻は導入編という感じでしょうか。高久や藤木、北沢といった主要登場人物の顔見せを兼ねた話が展開されてしていきます。現在のところは、有能すぎるほど有能な助手・北沢とおかしな縁で彼らと関わる生意気な少女・桜子がお気に入り。勿論、主役の二人――真面目で人が良い高久と、捻くれものの藤木子爵も良い感じでしたけど。

 とにかく普通に面白かったし、思わせぶりな描写やら謎もちらほらあるので、続刊も楽しみ。個人的には、高久の兄・頼久や桜子の母親もそのうち登場することがあるのか、気になるところです。

 3/13 『クレギオン3 アンクスの海賊』[野尻抱介/ハヤカワ文庫JA] →【bk1

麻薬原料を偽物とすり替えて代金を騙し取ったことから、ミリガン運送とマフィアのクレメント・ファミリーの因縁は始まった。またしても追っ手を逃れて原始星系アンクスに辿りついたミリガン運送社長ロイドと社員2名。この星系で新たに仕事を請け負い、無数の彗星が飛び交う航路を進むアルフェッカ号に、宇宙海賊の影が迫る。さらに、クレメント・ファミリーの追跡はこの星系にまで及んでいた。

 ハヤカワより復刊中の「クレギオン」シリーズ、第3巻。ついにというべきか、1巻から続いていたマフィアとの追いかけっこに決着がつきます。

 今回は、ゲストキャラも比較的バラエティ豊か。学者から転向した宇宙海賊アンガスたちやマフィアの下っ端君、それからたまたまメイと隣り合わせたことから最後まで同行するミセス・マーガレットなど、これまでの作品と比べるとややコミカルな感じ。また、ほぼ主役だったメイの奮闘振りも見ものかと。
 話の展開自体はよく考えると割とお約束な気もするのですが、そう展開するのが自然に感じられるといいましょうか。そんな感じで読書中はあまり気にならずに、普通に面白く読めました。

 さて、次はお引越しの話でしたね。前に読んだときは微妙に「うーん?」となった記憶があるのだけれど、今読むとどうなるかな?

 3/20 『吉永さん家のガーゴイル 2』[田口仙年堂/ファミ通文庫] →【bk1

 ご町内ほのぼのコメディ2巻目。今回は、ガー君のライバルとして新たに怪盗が登場。

 1巻同様、ほのぼのとした雰囲気が良い感じの作品でした。1巻はガー君の成長が主軸に話が展開されましたが、今作では怪盗の百色とひょんなことから彼と一緒に行動することになった少女・梨々、そして吉永家の面々との交流が話の大部分を占めていました。そんなわけで、ガー君がやや脇役に回ってたのは少し残念かな。ご町内の人々もあんまり出て来なかったし。
 また、話自体も1巻と比べて微妙にわざとらしいというかそんな印象を感じたものの、あんまり鼻にはつかずに面白く読めました。展開は、お約束といえばお約束なものだったりしますが、話のツボを心得ているっていうのでしょうか。抱腹絶倒こそないものの随所で楽しく笑えるし、時折ほろりとくるエピソードも織り交ぜられてるし。とにかく、普通に満足できました。

 さて。無事に3巻刊行の予定もあるみたいですが、今度はどんな話になるのか気になるところ。個人的には、1巻みたいにもうちょい「ご町内」が作品の中核になってくれれば嬉しいなぁ。

 3/21 『ザ・サード 黒髪のジャンヌ』[星野亮/富士見ファンタジア文庫] →【bk1

 「ザ・サード」シリーズ短編集の3巻目。雑誌連載分の短編と書き下ろしの中編の計4作品が収録されています。

 感想。前回の短編集は結構気に入ったのですが、今回はそれよりはやや劣るものの普通に面白かったと言う感じですね。
 いまいち楽しめなかった原因は、分量的に一番多かった中編――火乃香の先輩何でも屋(裏では別の仕事もこなしている)・MJ率いるチームをメインに据えた作品が微妙に肌に合わなかったからでしょうか。この中編も、登場人物たちの心情メインで行けば(ハードボイルドに決めようとして外してる感はあるものの)それほど悪くはないかもしれませんが。ただ、「ザ・サード」本編でも感じているキャラクターの強さのインフレ状態が顕著になってましてねー。作者氏はこのチームもお気に入りのようですが、個人的にはなんだかなぁ、といくらか醒めた気持ちになってしまって。まぁ、個人的な趣向の問題ですけれど。

 次は本編の続刊とのことですが。勿論それなりに楽しみにはしてますが……あっちはどこまで話が広がるんでしょうねぇ(なんとなく遠い目)

 3/22 『蟲忍 -ムシニン-』[古橋秀之/徳間デュアル文庫] →【bk1

 「ケイオス・ヘキサ」三部作や「サムライ・レンズマン」など、色んな意味で楽しい作品を書かれる古橋氏の新作。今回は、絵師の前嶋氏とのコラボレーション的な作品とのこと。

 感想としては……まずは、思っていたよりも物理的に薄かったなぁ、と。てっきり長編だと思い込んでいたのですが、ぱっと見で中編ぐらいの分量。さらに、絵師のイラストから古橋氏が物語を作るという変則的な手法で作り出された作品のため、イラストの比重が高い。別にそれが悪いとは言いませんけど、それならそれで本文ももっと増やして欲しかった。
 つーか、とりあえず短いんですよ。おかげで、展開が駆け足になっていて。この倍ぐらいは分量を使って、もうちょっと色々と煮詰めて書き込んでくれれば、もっと面白かっただろうなぁ、と残念というか勿体無く思うことしきり。結構「ケイオス・ヘキサ」に通じる世界設定だと思うし。

 ともあれ久しぶりの新作、面白く読めました。5月予定の『デモンベイン』外伝にも期待です(ゲームはやったことないけど、話に聞く限りは相性は悪くなさそうだし)

 3/26 『舞闘会の華麗なる終演 暁の天使たち 外伝1』[茅田砂胡/中央公論新社・C☆NOVELS FANTASIA] →【bk1

 「暁の天使たち」の外伝。私のとっては、このシリーズが始まって以来うだうだ悩んでいたことをすっぱり思い切らせてくれた巻でした(吹っ切れた笑顔)

 感想。……読書中、苦笑いというかそんな感じの笑みが始終つきまとってしまいました。作者さんが楽しんで書いたのは嫌になるぐらい理解できるのですけど、ねぇ。やっぱり、キャラクターへの愛情の著しい偏りは良くないと思うのですよ。個人的に。
 ストーリィに関しては……まぁ、本編とその後をフォローした作品、と言えなくもないと思いますが。正直に言って、単なる「キャラ萌え」で書かれた同人誌としか思えなかったり(つーか萌えって概念はよく分かってなかったりするんですが、この作品を読んでいて「つまりはこういうことなのかなー」と思ったので)

 まぁそんなわけで、この作品のキャラクターたちが好きだし、ストーリィは二の次でOKって言う方なら、きっととても楽しめると思います。私は駄目でしたが。さすがにもう吹っ切れたので、続刊は買わないと思います。よっぽど他所様での評価が向上したら別だけど(←多少の未練はあるらしい)

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