■ 2001.9月読書記録

 9/1 『わたしは虚夢を月に聴く』[上遠野浩平/徳間デュアル文庫]

 『ぼくらは虚空に夜を視る』と同じ世界観を使った作品。純粋な意味での続編ではないので、前巻が未読でも充分読めると思いますが……しかし、やっぱり前作読んでないと世界観とかが掴みづらいかな。ついでに「鉄仮面をめぐる論議」(『少年の時間』[徳間デュアル文庫]収録)も読んでおかないと、ちょっと「え、何?」と思う個所が結構あるかも……なんだ、結局読んでおかないと分かりづらいんじゃないか。

 感想は……う~ん、難しいなぁ。物語は複数の人物の視点&彼らを取り巻く状況で語られていて……なんというか、酷く掴みづらい。虚実が入り混じってるというか、何かを掴んでも霞となって消えてしまうというか。面白くないわけではないのですけど、上遠野さんの作風に慣れてないとキツイかも。

 しかし、この人の文章を読んでいるとすでに一種の哲学になってないかな……などと思ってしまいます。こんなこと言ってると、哲学専攻してる友人にしばかれそうですが(笑)

 ところで、これは結局ブギーの番外編だったんでしょうか?

 9/8 『ブギーポップ・アンバランス ホーリィ&ゴースト』[上遠野浩平/電撃文庫]

若い男女2人組の犯罪者・ホーリィ&ゴースト。彼らは別に悪人ではなく、世間に反抗していたわけでもない。寺月恭一郎の遺産、世界を滅ぼすかもしれない「ロック・ボトム」をなんとかしようと行動して、結果犯罪を犯していっただけだった――

 「ブギーポップ」シリーズ11冊目。時間的には……比較的新しい位置にある、と思われます。

 『俺たちに明日はない』になんとなく似ている感じ。あくまでなんとなく。……とか自分で書いておきながら、やっぱり全然違うような気もしてます。まぁおそらく、男女2人の犯罪者カップルってことで連想しただけでしょうから、あまり気にしないで下さい。

 それはさておき、「ロック・ボトム」を巡る物語でありながら、実は青春ものな話で、読後感も爽やかに仕上がっています。私のブギーシリーズお気に入りは『パンドラ』と『ペパーミント』なのですが、この作品はそれに匹敵するぐらい好きかもしれない。

 そういえば今回はMPLSらしき人がいないようですね(ドクターはそうだっけ?) なんか珍しい気がしますな。

 9/17 『カラミティナイトII』[高瀬彼方/ハルキ文庫]

 去年発売された『カラミティナイト』の続編。前回のラストは光明が見えていたような記憶があるのですが……なんか今回、主要人物が皆不幸な気がする(汗) 特に忍くん、普通のライトノベルならもう少し良い扱いだろうにねぇ(しみじみ) それに、今回初登場の美由紀さん。彼女の今後の役回りもまた不幸な状況しか想像できないし(汗) ……予想が外れてくれる事を祈ります。しかし、作者さんも少しは登場人物にいい目見させてあげればいいのになぁ(-_-;

 あと、やっぱり心理描写はなかなか上手いと思いました。智美と優子は、今回は大部分で気持ちがすれ違っていましたが、お互いがお互いを思いやっているのは分かりましたし……にしても、この2人は仲が良いなぁ。思わず「あんたら、女子高通ってるんじゃないんだから……」とツッコミいれてしまいました(苦笑)

 最後に、気になってることを一言。忍くんは果たして無事なんでしょうか? つーか、智美も優子も彼が敵の最終目的だということを忘れてるっぽいと思うのは私の気のせいか?(笑)

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