■ 2000.7月読書記録

 7/10 『ダブルブリッドIII』[中村恵里加/電撃文庫]

 早いもので、ダブルブリッドも3作目。今回も優樹さんは、かなり痛そうな目にあってます(笑)

 やっぱりこの作品、『妖魔夜行』が頭をちらつきます。まぁ妖魔と違って、あまり各々の正体とか能力とかは明らかになってないですが、時々出てくる設定が……特に今回の空木さんの『隔離』なんて、結界そのままやん……とか思ったんですが、これって言わないお約束?(笑)

 それはともかく、今回は第六課の場面がにぎやかで、なんかいい雰囲気だなぁと思いながら読んでました。前回登場した大田さんに加え、虎くんが復帰……まではしてないのだろうけど、遊びにきたり(笑) この様子だと、シリーズ終了時には第六課の元メンバー、全員集合することになるんでしょうね。果たして後のメンバーはどんな連中なのか、ちょっと楽しみ。

 ちなみに、前作で『嫌い』に傾きつつあった太一朗への評価は少し持ち直したかな? まぁ、今まで以上に嫌う理由はなかった、それで十分です。…さすがにメインキャラが嫌いだと、読むの苦痛ですから。

 7/14 『キノの旅 -the Beautiful World-』[時雨沢恵一/電撃文庫]

 人間・キノと言葉を話すモトラド(二輪車。この場合はバイクかな)・エルメスの旅を綴る、短編連作集。

 特に登場人物の心情を書き込んだり、感動させる場面があるわけでもない。なのに、妙に心に残って離れない。どの作品もそんな感じで……なんとなくですが、童話と通じるものを感じました。
 内心どう思っていたとしても、その国のことには必要以上に干渉しない。どこか乾いた、突き放したようなキノの姿が印象に残ります。彼女のその姿勢が、作品の雰囲気をより固めているのかもしれません。

 作中に出てくる国には、吐き気がするほど自分勝手な論理もあったりするんですけど(特に最後の1話)。それでも、いい作品を読んだと思えました。

 7/19 『天高く、雲は流れ9』[冴木忍/富士見ファンタジア文庫]

 めでたく冴木忍氏の最長シリーズとなることが確定した、『天高く』の9巻。そういえば、珍しく間が空いていましたね。8巻までは定期的に出てたのに。

 で、9巻ですが…前回から引き続いて、第2藩王地での騒動が中心になっています(王都の話は一体どうなってるんだろう?) 話は比較的進んだと言っていいでしょう。やっぱり遅いと思うけど、まぁ『風の大陸』よりは間違いなく早いし(比較対象が間違ってる・笑)

 ところで前から思ってたんですが、フェイロンって必要以上に強すぎません? カイルロッドのイルダーナフも強い人でしたが、彼の強さは納得できるんですよ。だって彼は来るべき時に向けて、自分を鍛えつづけていたんでしょうから。でも、フェイロンは……いくら天賦の才だとしても、ちょっと無理があるんじゃないかな、と感じてしまいます。

 最後の、あの展開はさすがに予想してなかったです。しかし、『涙腺が異常に弱い』と評される私にしては珍しく、全く泣かなかったなぁ。まぁ、全く死んだと思ってないからだけど(苦笑) でも実際はどうだろう? 冴木さんって割と容赦ないし、もしかしたら死んだかな? ……いや、別に死んで欲しい訳じゃないし、無事でいてくれればそれに越したことはないけど。一応、「助かるんじゃないの?」と思わせる記述はあったし。でも、あれで死んでなかったらちょっと興醒め…というか、ご都合主義にすぎると思うな(苦笑)

 7/21 『大地<グレイト・プレイス>物語 -逃亡血路-』[荻野目悠樹/ファミ通文庫]

 待ちに待った、荻野目悠樹さんの新シリーズ、しかも、大河ファンタジーということで思いっきり期待して購入。しかもこれを皮切りに、しばらく新作が連続発売ですから、デビュー作以来のファンとしては嬉しい限りです。

 一種の超越者的な存在が出てきたときは、ちょっと不安に思いましたが(個人的に荻野目さんの作品は、ただの人間のドラマが描かれてるほうが好みなので)、裏で色々画策していても表立っては物語に介入してこないし、なんだかやたら人間臭いし(つーか、ちょっとマッドサイエンティスト入ってるのが多そうな感じ)で、このぐらいならまぁいいかな、と。魔法(?)も現在のところは、姫様の持つ微弱な治癒能力ぐらいしか出てこないというのがいいですね。

 今回の話は予想の範囲で収まりましたが、今後の展開にはかなり期待してもいいんじゃないかと思ってます。

 7/25 『スカーレット・ウィザード3』[茅田砂胡/中央公論新社・C☆NOVELS FANTASIA]

 とある事情で偽装結婚をしているケリーとジャスミンの、一風(?)変わったSF風味の恋愛(??)物語。……偽装結婚という辺りで、すでに『恋愛物語』ではないような気もするけど……

 今回も動いてるのは、旦那さんの方に軍配が上がりますね。まぁ、ジャスミンは妊娠中だったし、仕方ないかな(もし、子供の名前が「エディ」だったら面白いかも・笑) でもジャスミンも最後はまたクインビーに乗ってます……何で彼女、こんなに人間離れしてるんだ? よく知らないけど、普通出産直後ってもっと……ねぇ? ま、茅田作品の女性(には限らないか)に常識を求めるな、ということかな(苦笑)

 しかしこの夫婦、絶対に『普通』の夫婦にはならないよねぇ……

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