■ 2006.4月読書記録

 4/1 『レディ・ガンナーと二人の皇子(下)』[茅田砂胡/角川スニーカー文庫] →【bk1

 暴走お嬢様と愉快な仲間達の冒険譚第4弾完結編。細かい内容はほとんど忘れてたのは秘密。

 ……まさかまさか、本当に1年待たされるとは思ってませんでしたよ……いやまぁ、あれとかそれとかと比べれば待った内に入りませんけどね。それでもなんというか、その、ねぇ?
 愚痴はさておき、感想。多少引っかかる部分はあるものの、普通に面白かったと言う感じ。あの国がこの先どう転ぶか分からないとはいえ、少なくとも今回の一件で張られた伏線はきっちり回収&提起された問題にも決着がつけられたのも好印象。……つーか、特定キャラを溺愛していなければ、まだ大丈夫なんだなぁこの人、としみじみ思いました。
 ちょっと残念だったのは、キャサリンや用心棒たちの大爆発が想像よりも大人しめだったこと。あれだけ鬱憤溜めてたんだから、もっと派手に爆発すると思ってたのですけどねぇ。

 この先もまだシリーズは続くのかな? 続くのならば、次はどんな騒動になることやら。あれこれ想像しながら、のんびり続報を待ちたいと思います。

 4/2 『円環少女2 煉獄の虚神(上)』[長谷敏司/角川スニーカー文庫] →【bk1
     『円環少女3 煉獄の虚神(下)』[長谷敏司/角川スニーカー文庫] →【bk1

 予想外に早かった、「円環少女」続編、上下巻で2ヶ月連続発売。先月発売された上巻は発売日に購入していたもののなんとなく感想書きそびれてしまっていたので、2冊まとめて簡単に。

 1巻に引き続き、話自体はとても面白かったです。新たにクセのある人や格好良い人が登場して話に絡んだり盛り上げたりしてくれたのも良い感じでしたし。特に鬼火は非常に好みな男前でした。あと、裏主役っぽいケイツもわりと好きだったりする。
 ただ、文章がやっぱり肌に合わないのですよねこのシリーズ……。必要以上に装飾過多だったりするおかげで、咀嚼するのに苦労してしまうというか。他にも場面の繋ぎで引っかかるなど、細々気になることが多いのが読みづらく感じる一因なのだろうなーと。まぁ、最終的には好みの問題ですけど、この先もこの調子ならさすがにキツイかもなぁ……。

 4/3 『お月様のためいき』[かめのあゆみ/竹書房ゼータ文庫] →【bk1

 甘々少女小説との評判を聞き、興味本位で手を出してみた一冊。もともとは他社の雑誌に掲載されていた短編6本に書き下ろし1本を加えての文庫化とのこと。

 感想。うん、これは確かに甘々だと思わず納得してしまう内容。昔よく読んだ甘々な少女小説群を思い出し、なんとなく懐かしい気分になってしまいました。
 中でも特に気に入った作品は、「七階建て探検隊」。ヒロインの目を通して描かれる、仕事の鬼と思われていた主任の素顔というか一面と、二人のやり取りが良い感じでした。ちなみにお気に入り次点は「アメノヒ、ハレノヒ」。
 基本的にどの話も楽しめましたが、少し残念なことがあるとすれば。やはり短編なため「そこのところをもうちょっと詳しくっ!」というところに限って端折られたりあっさり流され気味だったことですかねー。
 あとがきによれば作品数は結構溜まっているみたいなので、また次の作品集が発売されることをこっそり希望しておくことにします。

 4/10 『楓の剣! 二―ぬえの鳴く夜』[かたやま和華/富士見ミステリー文庫] →【bk1

 お転婆姫とその許婚が江戸を騒がす怪異に首を突っ込む謎解き草子、第2巻。

 読み終わって真っ先に思ったことは、「なんだか勿体無い」でした。いやまぁ、個人的な好みですけど、[美鶴と但馬守は別人のほうが]良かったなぁと。好敵手兼親友な間柄って好きなんだけどなぁ……(ブツブツ)
 えーとそれ以外の感想としては、1巻同様テンポ良く話が進むので読みやすいことは読みやすかったです。時代小説としては……1巻の時点でその辺はつっこまないことに決めたのでノーコメントで。
 登場人物では、羽瑠がとにかく可愛かったですね。彼女と関係して、嘉一も好感度上昇。楓と弥比古はちょっと進展したような気もしなくはないけど、基本的に相変わらず。ここに一人加わったことで、一体どんな展開になるのやら(最終的には楓と弥比古がくっつくのは動かないでしょうけどね)

 独り言。サブタイトルはどうせならもうちょっと内容に見合ったものにしたほうが誤解を招かなくていいのではないかと。……つーか私が、サブタイから「今回は伝奇度UPか?」と期待してたので、勝手にガッカリしただけなのですけどね(涙)

 4/11 『ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟』[上遠野浩平/電撃文庫] →【bk1

 「ブギーポップ」シリーズ14冊目。1年ぶりの新刊ですが、間にビートが出ていたこともあってそんなに待った気はしませんでしたねー。

 てっきり今回から凪の話に突入するんだろうと思っていたのですが、違いました。最近の流れからはやや独立しているような、そんな話でした。そのうちまた繋がっていくのかもしれませんけど。
 感想としては、変に凝ってなくて分かりやすい話だったかなーと。つーかこのシリーズの場合、人から見ればつまらないことなんかでぐるぐる悩んだり葛藤したりしている描写がないとなんとなく不満を覚えてしまう(←初期のイメージが刷り込まれたままなため)ので、そういう意味では今回はわりと良かったです。

 どーでもいい独り言。かなり久しぶりにブギーがちゃんと活躍してたような気がする。

 4/12 『夏期限定トロピカルパフェ事件』[米澤穂信/創元推理文庫] →【bk1

 傾向は違うもののそれぞれ問題のある性向をしていることから、二人で協力して「小市民」になろうと日々慎ましく生きる小鳩君と小佐内さんの物語、第2弾。

 今回は、高校2年の夏休みに、ひょんなことから洋菓子巡りを始めることになった二人を待ち受けるものとは、みたいな内容。形式は前作と同じく連作短編。どの作品も面白い作品で、始終楽しく読めました。中でも、「シャルロットはぼくだけのもの」がいろんな意味で一番面白かったかも。
 そして、最後に一つ大事件が起こり、その事件の真相を小鳩君が解明して終わりかと思いきや、そこから意外な展開に。言われてみれば、ところどころで違和感を感じるようなこともありましたが、読んでる時は全く意識してなかったので、うわやられた!という感じ。そういうわけで、「スイート・メモリー」でのどんでん返しやそこから始まる会話は緊張感があって大変良かったです(楽しく読むなら断然「シャルロット」ですけど) ああしかし、小鳩君は駄目だなぁ。あそこの小佐内さんはどう見ても翻意を促してもらいたがってるでしょうに(え、錯覚?)

 さて、関係に決定的な変化が生じた小鳩君と小佐内さん。この先、秋と冬ではどのような展開を見せてくれるのか。続きがとても待ち遠しいところです。

 4/13 『タクティカル・ジャッジメントSS 3 善行くんの弁護士養成講座』[師走トオル/富士見ミステリー文庫] →【bk1

 性悪弁護士の事件簿・短編集Ver.第3弾。収録作品は表題作を含めて4本。

 とりあえず山鹿に関しては、「善行の逆襲」での悪辣かつ敏腕な弁護士ぶりが面白かったですね。SSヒロイン(勝手に認定)の一寸八尺(かまつか)も相変わらず良いように使われてました。気の毒に。しかし、なんだかんだ言いながら着々と染まりつつあるようなのは錯覚なんでしょうか(笑) あとは、皐月が絡む「とある共産主義者の理不尽な日々」もそれなりに楽しかったです。しかし、何故皐月があんなに共産主義を信奉しているのかが真剣に分からん。どっかに理由書いてあったっけ? 最後に収録されているのは、影野主役の話。……えぇと、まぁゲストヒロインの好悪は横に置いておくとして、とりあえずめげるな影野(いや、むしろT先生?)、という感じでした。

 さて。あとがきで触れられていた夏ごろに予定されている「全く違う方向性」の新作がどんな話になるのか、ちょっと楽しみです。

 4/18 『カーリー 黄金の尖塔の国とあひると小公女』[高殿円/ファミ通文庫] →【bk1

 先月発売された高殿円さんの新シリーズ1巻目。発売直後に感想書きそびれたのでもう忘れたふりをしてようかとも思っていたのですが、なんとなく気が向いたので(適当)

 一言で表現すると、世界名作劇場風歴史物語。父の仕事の都合で英領インドの寄宿学校へ通うことになった少女シャーロットとルームメイトのカーリーの友情に、第二次世界大戦勃発前という不穏な世相が絡んだお話。
 これまでのファンタジー作品と違って現実世界の歴史を背景としている作品なので、個人的には大変美味しゅうございました。話の本筋も勿論面白かったですが、それよりなにより世界史的な人物名や事件が作中で出てくるたびに顔がにやけてしまうのは、もはや病気のような気がしなくもない。
 えーと、本筋の感想としましては。前半の寄宿学校の日常描写も後半の陰謀劇も面白くて、最後まで楽しめました。物語全体からすればまだまだ序章といった感じですが、この先シャーロットとカーリーの二人と友人たちがどんな日々を過ごすのか。そして、時代の移り変わりが彼女たちにどのような影響を与えるのか。続きが楽しみなところです。

 作品にあまり関係ない、歴史オタクの独り言。ガンジーやネルーは今作中で触れられてましたけど、次の巻辺りでアンベードカル博士についても語られないかなぁ。もしこの先カースト制にも触れるつもりなら、是非一言でも名を上げて欲しい人物なんだけど。ある意味、ガンジーよりもよっぽど。

 4/30 『ブラック・ベルベット 菫咲くころ君を想う』[須賀しのぶ/集英社コバルト文庫] →【bk1

 大戦で荒廃した世界を舞台に、強大な宗教国家転覆を目論む少女と様々な立場の人々の思惑を描いたシリーズ第4巻。

 六大主教のうちハル神父と因縁のある人物が出張ってきたり彼の過去が明らかになったり。前巻の流れを受けてキリがかなり凹んでいることも手伝って、今巻はハル神父がほぼ主役状態の巻でした。肝心の敵役が実力はともかく精神的には三流もいいところだったのが残念といえば残念でしたが、それはそれとして今回の件を経てハル神父が過去への後悔から一歩踏み出したのは素直に良かったなぁ、と思います。
 それとは別に明らかになったキリがディートニア転覆を志すきっかけとなった事件。…………実質10代前半ぐらいの女の子にその所業は、鬼畜としか言いようがないぞヴァルカーレ。また、エイセルの謎の行動もいくつか語られていますが、この辺は今後の伏線なのでしょうねぇ。つーか、雑誌掲載の短編を読んでいると、彼が本来どういう存在なのかがものすごく気になるわけですが。短編といえば、今回の話に直接関係はないもののサンティスの動向が気になって仕方がないですね。おそらく失われてしまったのだろう記憶を、いつか取り戻す日が来るのか。来たとしたら、その時彼はどう出るのか。うーん、想像するだけでワクワクする。

 次巻は女神伝の後になるそうで。この先どんな展開になるのか、楽しみに待ちたいと思います。

 独り言。今回の話読んで、なんとなーく某人物の復活フラグが成立したように思うのは錯覚なのだろうか。

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