『彼女の知らない彼女』[里見蘭/新潮社]

高校卒業後、家業の定食屋を手伝っている夏子。大学へ通いながら女優を目指している幼馴染で親友の杏を応援しながら、一方で自分の人生は本当にこれでいいのだろうかと考えていた。同じころ、オリンピック金メダリスト・夏希のコーチをしている村上は、一つの決断を迫られていた。夏希が故障し、4か月後に行われる選考レースに出場するか否かで契約事務所と意見が対立してしまったのだ。困り果てていた村上は、とある居酒屋で変人めいた初老の男と出会う。井尻博士と名乗ったその男が、村上の話を聞いて提示した奇想天外な解決法によって、交わるはずのない二つの人生が交わることに。

 第20回日本ファンタジーノベル大賞・優秀賞受賞作。ちなみに、作者さんはこの作品がデビューではなく、ホワイトハート等でオリジナル・ノベライズを何作か発表されている方です。

 最初は、パラレルワールドをめぐって代役を見つけてくるってスポーツマン精神としてはどうなんだとツッコミをいれたくなったものの、コーチたちは代役で適当にその場をごまかそうとせず、夏子も自身の素質に甘えず本番に向けての猛特訓をこなしていくという展開に、段々彼らを応援したくなり。気がつくと細かいことはまぁどうでもいいかーという気にさせられてしまっていたという。で、終盤に夏子が本番レースに挑む場面になると、もういっそパラレルワールドとか抜きで普通のスポーツ成長ものでも良かったんじゃないかと思った(←いや、そうなると完璧に「ファンタジー」じゃなくなるから)
 そして、全てが終わった後。この出来事をきっかけにして自身の殻を破り、自分の世界で次のステップへ進みだした夏子の姿が印象的でした。コーチとの別れも少し切なく、でも湿っぽくならずで良い感じ。

 まぁとにかく、読んでいると「私もめげずに頑張ってみよう」という気分になれる話でした。ちょっと凹んだ時とかに読みかえすと、元気とやる気が出そうでいいかもなーとも思った。

作品名 : 彼女の知らない彼女
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著者名 : 里見蘭
出版社 : 新潮社
ISBN  : 978-4-10-313011-6
発行日 : 2008/11

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