2014.09.24

『薬屋のひとりごと』[日向夏/ヒーロー文庫]

花街の薬師として生計を立てている猫猫は、うっかり人攫いに捕まって後宮に売り払われてしまう。そばかすだらけの器量では間違っても帝の目に留まるはずはなく、下働きとして何事もなく年季があけるのを待っていた彼女だが、ある日、帝の御子たちが病に伏していることを知って……

 本屋で見かけて、何気なく手にとった一冊。「小説家になろう」でのWEB連載→単行本化を経ての、今回の文庫化のようです。装飾の少ない素っ気ないぐらいの文章ですが、テンポがいいのかさくさく読めました。

 宮廷ミステリ&ラブコメ? 自分の体を使った実験もいとわないの毒マニアの主人公が、宮中の陰謀になんのかんのと関わっていく羽目に、という筋立て。後宮という小さな世界で様々な事情や思惑が煮詰まって騒動や事件が生まれていく、その結末を猫猫のドライな視点で見届けていく感じが巧いというか面白かったというか。
 あと、メイン登場人物のキャラ付が楽しい。どこまでもマイペースに宮中を闊歩する(本人は控えてるつもりだろうけど、なんかそんなイメージが)猫猫と、彼女の才能を見出し最初は利用するつもりで近づいたはずが……な宦官(となってるけど本人視点では地の文ですらそう自称してないし、途中の描写からして、ですよね多分)の壬氏のなんとも奇妙な距離とちょっとずれた掛け合いがなんだか笑えました。壬氏頑張れ。他、登場する帝の妃たちもなかなか魅力的な人が多くて良かったですね。

 WEBで続編連載中らしいので、そのうちそちらも書籍化するといいな。

作品名 : 薬屋のひとりごと 【amazon紀伊國屋
著者名 : 日向夏
出版社 : ヒーロー文庫(主婦の友社)
ISBN : 978-4-07-298198-6
発行年月 : 2014.8

2014.09.15

『テスタメントシュピーゲル 2』kindle連載第2回[冲方丁]

「テスタメントシュピーゲル」kindle連載2回目の感想です。気をつけてはいますが、ネタバレ注意。
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2014.08.31

『テスタメントシュピーゲル 2』kindle連載第1回[冲方丁]

 テロの脅威に晒されている都市・ミリオポリスで戦い続ける少女たちの物語、「シュピーゲル」シリーズ完結編と銘打たれ、1巻の発売から約5年。kindleでの連載という形でいよいよシリーズ再開です。
 連載完結後にスニーカー文庫であらためて文庫版が発売されるということなのですが、我慢できずに連載で読んでいくことにしました。ついでなので、極力ネタバレしないように気をつけつつ短めの感想書いていこうと思います。
あとの楽しみにしたい方も多いでしょうから、畳んでおきます。
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2014.07.16

もそもそ再起動中。

半年以上ぶりの更新になりました。どうもお久しぶりです。
ツイッターではほぼ毎日遊んでたりゲームしてたりもちろん本を読んだりもしてたんですが、なぜかなかなか感想を書く気分にならず。たまに下書きしてもしっくりこなくて破棄を繰り返し、気がつけばずいぶんと長い間サイトを放置してました……。
でも、今回久しぶりに感想書いたらやっぱり楽しかったんで、今後はほどほど更新を心がけたいと……あまり気負うとまたつまづきそうなので、まあ、のんびりやっていきたいと思います。

『ミレニアムの翼 -320階の守護者と三人の家出人-(全3巻)』[縞田理理/新書館ウィングス文庫]

産業革命によって汚染された大地から逃れるべく、人々は1000層に及ぶ塔を建造、移住した。 塔の生活は5人の発明卿が独占する技術によって支えられ、一方、汚染された大地も長い時間をかけて癒やされつつある世界。 《塔》国家アングリア王国リンデン塔320階の便利屋サイラスは、機械いじりの天才で貴族階級出身らしい美貌の青年ジョニーと出会う。さらには全塔踏破を目指す《田園》出身の青年ナッシュ、暗殺者の凶刃からからくも逃れた王女ラモーナまでもが彼の事務所に転がり込んできて――

 縞田理理さんの、ヴィクトリア調ゴシックファンタジー(公式紹介より)、全3巻で綺麗に完結。

 なんだかんだ言いながら家出人(?)3人の面倒を見ずにいられない世話焼きのサイラス(男やもめ)と、これまでとは違う生活の中で次第に成長していく家出人たち(主にジョニーとラモーナ。ナッシュは……いい意味で変化がなかったな・笑)の擬似家族的な関係が、時に微笑ましく時に楽しく、読んでいて心地よかったです。あと、2巻から登場したジョニーのお父さんが良いキャラしすぎでした(笑)
 話としては、ラモーナを保護したことから、このまま王国を私物化しようとするモールデン伯爵との対決になるんだろうと思っていたら、発明卿を標的にした連続殺人が発生。ナッシュが容疑者となったことから、サイラスたちが事態究明に動くという展開に。塔の秘密に深く関わるこの連続殺人事件の真犯人との対決は、思いの外丸く収まった感がありました。「彼」にとって、「もしかしたらそうだっかたもしれない」ことに気づき、さらにはあの別れの言葉を聞けたことはよかったんだろうなあ。作中でも言われていたとおり、起こした事件は許されないものなんですが、たまに気晴らしで「あの場所」に出かけているのはありかも、などと思いもしました。
 ……で。殺人事件が解決してひと安心する間もなく、今度は「彼」の置き土産から塔の危機と伯爵との対決がはじまることに。伯爵とその息子は同情の余地が全くない、とても下衆くて小物な悪人(褒め言葉)なのもあって、最後はすっきりでした。
 あと、最後に明かされたサイラスの謎。1~2巻のほのめかしである程度予想はしていたので、ああ、なるほどねーそこだったのねーという感じ。本編最後の賑やかな事務所の光景や最後の描きおろし短編で、またすっきりほっこりとしました。

 最初から最後まで、程よい軽さで楽しめた、良いシリーズでした。次回作も楽しみです。

作品名 / ISBN / 発行年月 :
      ミレニアムの翼 -320階の守護者と三人の家出人- 1 【amazon紀伊國屋】 / 978-4-403-54188-9 / 2013.1
      ミレニアムの翼 -320階の守護者と三人の家出人- 2 【amazon紀伊國屋】 / 978-4-403-54194-0 / 2013.9
      ミレニアムの翼 -320階の守護者と三人の家出人- 3 【amazon紀伊國屋】 / 978-4-403-54201-5 / 2014.7
著者名 : 縞田理理
出版社 : 新書館(新書館ウィングス文庫)


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