2014.10.09

『ストレンジムーン3 夢達が眠る宝石箱』[渡瀬草一郎/電撃文庫]

 未知の存在・迷宮神群の影響を受け、本人が望んだか否かは関係なく異能を得た人々が織りなす物語「ストレンジムーン」3巻目にして迷宮神群リコルドリクと「皇帝」ブロスペクトを巡るエピソードの完結。

 感想:だいたいエスハのせいだった。←身も蓋もない結論。別の世界から合流した従者の能力で傍迷惑度が上昇したエスハの本領発揮というべきなのか何なのか……。まあ、彼のちょっかいを発端に起きた今回の事件、どうなることかと思いきや案外あっけなく収束した印象。いやまあ、あっけなくというには被害は甚大だったけど、終盤の展開が急ぎ足だったからかそんな印象が強くて。あと、「皇帝」側についた友人や皓月も扱いが少しもったいなかったような気がしました。
 一方、旧作組の登場は素直にうれしかったですね。山ノ内さんもカーマイン卿もお元気そうでなにより。フェルディナンは、あえてそうしているのかいまいちツメが甘いのが相変わらずだなあ、と(笑) ちなみにくろとら君の正体は半分だけ予想が当たりました。……いやだって、さすがに(以下自主規制)だとは思わなかったし。

 エピソードは一区切りとなっていますが、大事な人を取り戻すために迷わずエスハの誘いにも乗ろうとしたモニカの今後や回収されていない詐欺師の石の行方など、続編があってもおかしくないような結末でもあり。また迷宮神群を巡る物語が読めることを期待しています。

作品名 : ストレンジムーン3 夢達が眠る宝石箱 【 amazon , 紀伊國屋
著者名 : 渡瀬草一郎
出版社 : 電撃文庫(KADOKAWA/アスキー・メディアワークス)
ISBN  : 978-4-04-866648-0
発行日 : 2014.6.10

2014.10.07

『王女コクランと願いの悪魔』[入江君人/富士見L文庫]

 表紙に惹かれて手にとった一冊。「どんな願いでもひとつだけ叶える」悪魔と、願いを持たない王女コクラン。ふたりが織りなす、どこか寓話あるいは舞台劇を思わせる雰囲気の、実に素敵な物語でした。

 出会いからいささか感覚のずれた、それ故に軽妙なふたりの会話から始まって、序盤は基本的には明るくコミカルな雰囲気。王が老齢であるために王女たちの学舎のような扱いになっている後宮で繰り広げられる日々は、歪さを抱えながらも楽しげで、読んでいて楽しかったです。
やがて、とある出来事をきっかけにコクランと悪魔は互いに親愛の情を抱くようになっていくのですが……ここでコクランの抱える「事情」が彼女を追い込んでいくことに。次々と明かされる秘密と畳み掛けるような展開にハラハラしどおし。その中で語られる、コクランがただひとつ欲していたもの。彼女のために悲しみ憤り、己の存在を危うくしてでもその力を振るおうとする悪魔の想い。それぞれに胸に迫るものがあって、涙が滲みました。
そして、迎えたラスト。コクランを取り巻く環境は変わっていないですし、これからも苦難は絶えないと思うのですが……一方で、それでもきっと彼らは幸せになるだろうと、不思議とそう思うことができる、奇妙に後味の良い結末でした。

作品名 : 王女コクランと願いの悪魔 【amazon紀伊國屋
著者名 : 入江君人
出版社 : 富士見L文庫(KADOKAWA/富士見書房)
ISBN : 978-4-04-070319-0
発行年月 : 2014.09

2014.10.05

『テスタメントシュピーゲル 2』kindle連載第3~4回[冲方丁]

「テスタメントシュピーゲル」kindle連載3~4回目の感想です。気をつけてはいますが、ネタバレ注意。
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2014.09.24

『薬屋のひとりごと』[日向夏/ヒーロー文庫]

花街の薬師として生計を立てている猫猫は、うっかり人攫いに捕まって後宮に売り払われてしまう。そばかすだらけの器量では間違っても帝の目に留まるはずはなく、下働きとして何事もなく年季があけるのを待っていた彼女だが、ある日、帝の御子たちが病に伏していることを知って……

 本屋で見かけて、何気なく手にとった一冊。「小説家になろう」でのWEB連載→単行本化を経ての、今回の文庫化のようです。装飾の少ない素っ気ないぐらいの文章ですが、テンポがいいのかさくさく読めました。

 宮廷ミステリ&ラブコメ? 自分の体を使った実験もいとわないの毒マニアの主人公が、宮中の陰謀になんのかんのと関わっていく羽目に、という筋立て。後宮という小さな世界で様々な事情や思惑が煮詰まって騒動や事件が生まれていく、その結末を猫猫のドライな視点で見届けていく感じが巧いというか面白かったというか。
 あと、メイン登場人物のキャラ付が楽しい。どこまでもマイペースに宮中を闊歩する(本人は控えてるつもりだろうけど、なんかそんなイメージが)猫猫と、彼女の才能を見出し最初は利用するつもりで近づいたはずが……な宦官(となってるけど本人視点では地の文ですらそう自称してないし、途中の描写からして、ですよね多分)の壬氏のなんとも奇妙な距離とちょっとずれた掛け合いがなんだか笑えました。壬氏頑張れ。他、登場する帝の妃たちもなかなか魅力的な人が多くて良かったですね。

 WEBで続編連載中らしいので、そのうちそちらも書籍化するといいな。

作品名 : 薬屋のひとりごと 【amazon紀伊國屋
著者名 : 日向夏
出版社 : ヒーロー文庫(主婦の友社)
ISBN : 978-4-07-298198-6
発行年月 : 2014.8

2014.09.15

『テスタメントシュピーゲル 2』kindle連載第2回[冲方丁]

「テスタメントシュピーゲル」kindle連載2回目の感想です。気をつけてはいますが、ネタバレ注意。
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