『蜜蜂と遠雷』[恩田陸/幻冬舎]

「ここを制した者は著名な国際コンクールで優勝する」というジンクスもあって、近年注目を集めている芳ヶ江国際ピアノコンクール。コンクールに出場する4人を中心に彼らの師や審査員等周囲の人々も含めて、第一次予選前のオーディションから本戦までを描いた作品。

本屋で見かけてなんとなく気になっていたところに直木賞の候補にもなったということで、久しぶりに恩田陸作品を読んだのですが、いやあ、面白かった。最後まで一気読み。
コンテスタント4人のうち、より密接に関わる若き天才3人がそれぞれの音楽に刺激を受けてコンクールの最中にめざましく成長し己の音楽をより確固たるものにしていく姿は青春物らしく微笑ましくもある一方、様々な描写や表現を尽くして描かれる彼らの音楽はまさに圧巻の一言。演奏の音源を流しながら読んで、会場にいる気分に浸ってみたりしてました。また、メイン3人とは少し距離を取って語られる最年長のコンテスタント、高島明石氏。このコンクールで音楽家としての自身に区切りをつけようとも考えていた彼の、音楽家としての想いと人生の物語は、厳しさだけではなくじんわりと心に染みるような暖かさがあって、とても良かったです。

とても良いものを読んだなあ、と満足して本を閉じることができた一冊でした。

作品名 : 蜜蜂と遠雷
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著者名 : 恩田陸
出版社 : 幻冬舎
ISBN  : 978-4-344-03003-9
発行日 : 2016/09/23

2017年、はじまってました。

今年もすでに一週間以上経っていますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
すっかりTwitterがメインになり、FGOやらなにやらに時間を取られて、それはそれで楽しく過ごしているのですが。一方で、昨年は改めて個人サイト(ブログ含む)の楽しさを思い出したり気づくこともあり。
そんなわけで、今年は無理しない程度で、思い出したようにでもちょくちょく更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

『ちどり亭にようこそ~京都の小さなお弁当屋さん~』[十三湊/メディアワークス文庫]

 書店店頭で見かけてなんとなく購入した一冊。ここしばらく流行してるのかよく見るジャンル・お店もの(というのか?) 京都市内で仕出し弁当屋「ちどり亭」を営業しているいいところのお嬢さん・花柚さんと「ぼく」ことアルバイトの大学生・彗が出会う、料理やらお弁当の発注やらに絡んだ日常とそれぞれの恋の物語。

 京都舞台でメイン級の人物に地元出身の人多数なのに京都弁が全く出てこないのはこれ如何に。まあ、旧家のめんどうくさいあれこれとか表現するためにあったほうが便利かなーぐらいで、京都が舞台である必要が感じられないし……などと思いつつ。こじんまりとまとまったお話は読みやすかったですし、恋愛話は花柚さんも「ぼく」も、(特に花柚さんは年単位で……)いろいろあったものの、最後はそれぞれのお相手とうまくいきそうな感じで終わってるのにもほっとしました。
 いろいろと考えてきちんと作られているお弁当が、お値段が高めでもちょっと食べてみたいなーと思えたのも○。

 1冊で話がまとまってるので続編はなくてもいいけど、失踪したお兄ちゃんのお話とかスピンオフで読んでみたい気がします。

作品名 : ちどり亭にようこそ~京都の小さなお弁当屋さん~
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著者名 : 十三湊
出版社 : メディアワークス文庫(KADOKAWA)
ISBN  : 978-4-04-892274-6
発行日 : 2016/07/23

ふと気がつけば…

前に更新してから半年近く経過してる!と愕然とした今日この頃。
更新こそしてませんが本読んだりゲームしたりFGO(ソシャゲ)で一喜一憂したりと相変わらずぐーたらと生活してます。
……まあ、さすがにぐーたらしすぎなんで、ちまちまサイトの更新もやっていくようにしたいなあと思いつつ。
とりあえず感想書くとしてどの本から行くべきか(書いてない本が多くなりすぎて手がつけられない悪循環)

『洋食屋じゃぽんの料理帖 ソップからはじまるフル・コウス』[左京潤/富士見L文庫]

 富士見ファンタジア文庫で「勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。」シリーズを刊行されていた作者さんの新作。ねぎしさんのイラスト効果もあって手にとってみました。

 時は明治、文明開化の世。身内を亡くし、維新前から続く家業の料理屋を従兄に乗っ取られた少女・柚子が、従兄を見返し「人を幸せにする料理」を拵える料理人になるために奮闘する、というのがざっくりしたあらすじ。
 さっくりと読めてなかなか面白かったです。あと、こういう料理を絡めた作品は流行っているせいかよく見かけますが、もともと柚子が日本料理を学んできたという設定もあって西洋料理そのままではなくちょっとアレンジしてあったり見慣れた料理でもちゃんと美味しそうな描写だったりするのが良いな、と。
 登場人物としては、ときに苦境に苦しみ失敗に落ち込んでも、また立ち上がって自分にできる最高の料理を作ろうとする健気な柚子は応援したくなるヒロイン。そんな彼女の周囲にいるのは、柚子が仇敵と嫌っている従兄の俊輔、ひょんなことから面倒を見ることになった記憶喪失の青年・周、亡き兄の旧友・朔馬、料理の縁で繋がった八坂院兄弟などなどタイプの異なる良い男が揃っていて、それぞれの立場から彼女の料理道に関わってくるのが、作者さんの言葉を借りれば「ちょっぴり昔の少女漫画風味」で実に楽しい。正体というか設定については隠す気ないだろうな勢いで情報が開示された一応メインヒーロー兼柚子のアドバイザー的立ち位置にいる周は、次巻以降で失われた記憶と抱える事情が徐々に明きらかになっていくんだと思いますが、この設定だと最後はどうなるんだろう……年齢的に実は○○とか▲▲とかいうのは難しい気がするしなあ。あと、ちょこちょこ描かれる描写から読者的にはわりとすぐおや?となる俊輔さん。柚子の父兄の死にも絡んできそうな、彼が内に秘めているものも気になるところです。

 さて、実家の料理屋を心ならずも後にし、縁あって任された洋食屋「じゃぽん」で働くことになった柚子。彼女の奮闘がまた近いうちに読めますように。

作品名 : 洋食屋じゃぽんの料理帖 ソップからはじまるフル・コウス
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著者名 : 左京潤
出版社 : 富士見L文庫(KADOKAWA)
ISBN  : 978-4-04-070854-6
発行日 : 2016/3/15