2011.11.22

『ゴーストハント(全7巻)』[小野不由美/幽ブックス]

 その昔、少女小説が玉石混交で大量に発売&消費されていた頃に、今は亡き講談社X文庫ティーンズハートから刊行されていた小野不由美さんのホラーシリーズ。コミック版が発売されていたり根強い人気はありつつも原典が長らく入手困難な状態にあったのが、約1年かけて加筆修正の上復刊されました。ええもう、うっかり旧版手放していたのでいそいそと購入しておりました。

 で、リライト版ということで、おぼろげな記憶と比較していろいろと変わっている面もあり。全体的に、すっきり読みやすくはなってるかなぁと思いました。あと、怖さが地味に上昇してて、さぁくるぞと分かっていても、ぞわっとなったりした。各巻、それぞれに趣向が異なっており、それぞれの怖さが楽しめるのもいい。しかし、よく考えると悲惨・陰惨な状況も多いのに、雰囲気が暗くなりすぎないのは主役の麻衣のキャラが大きいよねぇ、としみじみ思ったりもした。
 ホラーな部分だけではなく、登場する個性的なキャラクターたちのやりとりも面白い。個人的にはぼーさんと安原君が好きです。それから、少女小説な要素の名残というかなんというかで麻衣の恋心がシリーズ中で描かれるのですが……これの決着が、なんとも切ない。いや、さすがに初読のときは「えええ、そんなのありー!?」と驚きもしましたが(笑)、読みなおすと伏線もちゃんとあるし納得するんだよなぁ。まぁともあれ、現実を受け止めてこの先も歩いていくのだと、そう自然と伝わってくるような麻衣が印象的でした。

 そんなこんなで久しぶりに読んだ(コミック版は読んでないので)「ゴーストハント」シリーズ、面白かったです。願わくば、『悪夢の棲む家』も何とかなって、ついでにひょっこりとシリーズ再開とかなったらすごくうれしいんだけど、ないだろうな……。とりあえず、「十二国記」の新刊待ってますはい。

作品名 / ISBN / 発行年月 :
      ゴーストハント1 旧校舎怪談  【amazonbk1】 / 978-4-8401-3594-8 / 2010.11
      ゴーストハント2 人形の檻 【amazonbk1】 / 978-4-8401-3688-4 / 2011.1
      ゴーストハント3 乙女ノ祈リ 【amazonbk1】 / 978-4-8401-3862-8 / 2011.3
      ゴーストハント4 死霊遊戯 【amazonbk1】 / 978-4-8401-3911-3 / 2011.5
      ゴーストハント5 鮮血の迷宮 【amazonbk1】 / 978-4-8401-3978-6 / 2011.7
      ゴーストハント6 海からくるもの 【amaoznbk1】 / 978-4-8401-4245-8 / 2011.9
      ゴーストハント7 扉を開けて 【amazonbk1】 / 978-4-8401-4307-3 / 2011.11
著者名 : 小野不由美
出版社 : メディアファクトリー(幽ブックス)

2011.10.25

『瞳の中の大河』[沢村凛/角川文庫]

腐敗した政府と野賊との内戦によって疲弊した、ある王国。理想と正義と信念を胸に、軍務に就いた青年、アマヨク・テミズ。初任務の最中、野賊の罠に嵌った彼は、野賊の頭領の一人オーマと出会う。それが、彼の波乱の人生の始まりだった。

 4年前に発売された『黄金の王 白銀の王』が話題を呼んだ、沢村氏のファンタジー作品。長く入手難であったのが、角川文庫から復刊されました。

 内容としては、あらすじにもまとめたように一人の英雄の物語、ということになるでしょうか。自分の信じるもののために、愛するものと敵対することも厭わずひたすら愚直に己の意思を貫き進み続けるアマヨクを中心に、オーマをはじめアマヨクの伯父である南域将軍、野賊の一味でアマヨクとは奇妙な縁を結ぶことになるカーミラ、その他様々な人物の人生が交差し、変わらぬように見えた王国に変革をもたらすまでの過程が粛々と描き出されていきます。『黄金の王~』と同じく、困難な道を歩み続けた男の生涯は読み応えあり。文章そのものは素っ気無いぐらいなんですが、中身は熱いです。
 彼が最期に報われたかどうかは受け取る人によって意見が分かれるでしょうが、少なくとも本人は終章のとある登場人物の言葉を借りれば、「なかなかいい一生を過ごした」と納得しているだろうな……と思います。
 しかし、(作中でも漠然と察するところはありましたが)最後になって明らかになる彼が求め続けたもの、望んで得られなかったものは、なんというか……彼の父親が、もう少しだけ強い人であってくれればと思わずにはいられない、やるせなさが残る。

作品名 : 瞳の中の大河 【amazonbk1
著者名 : 沢村凛
出版社 : 角川文庫
ISBN : 978-4-04-394479-8
発行年月 : 2011.10

2011.09.28

2011年10月の購入予定。

毎月恒例購入ほぼ確定組の自分用備忘録。
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2011.09.27

『公家武者 松平信平2 姫のためいき』[佐々木裕一/二見時代小説文庫]

 姉の伝手で公家から武士に転身した松平信平(三代将軍家光の義弟)を主役にした時代小説、第2巻。

 前回は短編集でしたが、今回は長編。二年前の由比正雪の乱の残党狩りで騒がしい江戸の町で、浪人狩りに出くわした信平。それを発端に、まだ見ぬ妻の父・紀州藩主頼宣追い落としの策謀に関わることに……という感じの内容。
 今回もテレビの連続時代劇みたいなノリは健在(もっとも、1巻と違って長編だったので、番組改編期のスペシャル版、という雰囲気でしたが) サクサク読めて事件もすっきり解決で、実に後味が良い。信平のキャラクターも手伝って、実にさわやか風味です。
 で、進展するといいなーと思ってた恋模様も期待どおりに少し進展。基本的におっとりしてるというかマイペースな信平が、偶然知り合って密かに気になってたお嬢さんが実は自分の妻だった!と知って、ちょっとだけ出世に積極的?になるのがベタながらニヤニヤしました。微妙に彼女の意図を勘違いしている信平ですが、とりあえず、この先もお互い知らぬふりで町でお茶して仲を深めていくと良いと思うよ! そのほかの登場人物とも比較的良好な関係を築いている信平、人生楽しそうでいいよねぇ……。

 さて、事件を無事解決し、50石を100石に加増されたついでに義父の心象も若干良くなった信平。住まいも変わり、次はどんな事件に関わってどこまで妻との同居条件である1000石に近づくのか。続きが楽しみです。

作品名 : 公家武者 松平信平2 姫のためいき【amazonbk1
著者名 : 佐々木裕一
出版社 : 二見書房
ISBN : 978-4-576-11112-4
発行年月 : 2011.9

2011.09.13

『六人の兇王子III~V(完結)』[荻野目悠樹/幻狼FANTASIA NOVELS]

 秘密結社によって「世界を滅ぼす」兇王子の一人として養育されながら、とある出来事をきっかけに結社から離反・兄弟同然に育った残り五人の兇王子と死闘を繰り広げる宿命を負った青年・ギヴァの苦闘記。2巻まではコバルト版の復刊でしたが、3巻以降は完全新作。そして、先日発売された『レイバリの書』をもって無事にシリーズ完結。
……コバルト版から数えて十数年。途中で続きが出なくなったあのシリーズやこのシリーズも、信じていれば続きが読める日も来るのだろうか(遠い目)

 個人的な感慨はさておき、シリーズ完結しての感想は……「これ、コバルト版のまま話が進んでたらどんな結末になってたんだろう?」の一言に尽きるような。いや、幻狼版ではアンドレッティというキャラが追加されているんですけど、彼が思いのほかいい立ち位置を与えられてまして。彼がいなかった場合、結末はもっとダークな雰囲気になってたんじゃないかなぁと思いました。しかし、ズタボロになりながら必死に戦った結果がこれとは、ギヴァもアンナ・マリアも報われないよなぁ……
 あと、作者氏の文章のクセなんでしょうけど盛り上がってしかるべき場面でもわりと淡々と読めてしまうことに、若干もったいなさを感じたり。まぁこれは個人の好みもあるでしょう。

 とにもかくにも、思いがけず完結したことがなにより嬉しいシリーズでした。幻狼さんは他にもいろいろと拾ってくれてもいいのよ?

作品名 : 六人の兇王子III ヴァキオの嵐【amazon ・ bk1】 / IV ヴァレージの都【amazon ・ bk1】 / V レイバリの書【amazon ・ bk1】
著者名 : 荻野目悠樹
出版社 : 幻冬舎(幻狼FANTASIA NOVELS)
ISBN : 978-4-344-82049-4 / 978-4-344-82237-5 / 978-4-344-82299-3
発行年月 : 2010.11 / 2011.6 / 2011.8


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