『ただいまの神様』[鈴森丹子/メディアワークス文庫]

人の世を気ままに放浪している根無し草の神様たちが、それぞれに身動きができなくなっている人々の縁結びに一肌脱ぐお話、第2巻。今回はバイトに勤しんでいる川の神様の代わりに森の神様(外見はエゾリス)が登場。展開的には前巻と同じくで、動物の姿のときも人間の姿になっているときも奇跡を起こすでもない神様たちに、登場人物たちが自身の思いや悩みを吐露することで、やがて行動に移っていく、という感じ。なんだかんだ、話しやすい距離にいてくれる神様たちは、そのときどきの行動が微笑ましい。あとやはり、もふもふは正義。
恋のお話のほうは、前巻以上に関係性が狭いと思いましたが、あとがきによれば前巻は「友達」、今巻は「家族」をキーにしたそうなので仕方がないのかも。前巻で転勤していった彼が、新天地で新たな恋に出会えたのはよかったなあと思いました。

山の神様のマヨネーズ、川の神様のチョコレートに続いて今度はコーヒーにハマる森の神様。また続編があって別の神様が出てきたらどんな外見で何にハマるのか、考えるのはちょっと楽しい。あと、「縁結びの神にそっぽを向かれている」ミヤダイ君にも春がくることを願ってます。……ちょっと思い込み強そうだけど悪い人ではないから、あの空回りっぷりがなんか読んでて気の毒になるんで……

作品名 : ただいまの神様
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著者名 : 鈴森丹子
出版社 : メディアワークス文庫(KADOKAWA)
ISBN  : 978-4-04-892600-3
発行日 : 2017/1/25

『おかえりの神様』[鈴森丹子/メディアワークス文庫]

人の世を気ままに放浪している根無し草の山の神(外見は狸)と川の神(外見はビーバー)。しばらくぶりに東京のとある街角で再会した二柱の神様が、暇なら手伝ってくれと縁結びの神様に頼まれて縁結びに一肌脱ぐ、というお話。

神様、と言っても神通力を使って問題を解決してくれるわけではなく、気ままに振る舞う神様たちとそれぞれに縁を持った男女4人が、彼らと話をするうちに自分を省みたり一歩踏み出したりする、という展開。力強さや威厳はないけれど、そこにいるだけで気が休まって不思議と心強くなる、愛らしくて憎めない神様が良い感じでした。もふもふは正義。
人間たちの恋模様は、ちょっと関係狭いな?と思わなくもなかったですが、まあこれはこれで。4話目主役の布袋さんは、好き嫌い別れそうだなあと思った。

読んでてほのぼのするというかにこにこしてしまうというか、とにかく和む話でした。続編が出るといいなあと思ってたらつい先日発売されたのはちょっと嬉しかったです。

作品名 : おかえりの神様
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著者名 : 鈴森丹子
出版社 : メディアワークス文庫(KADOKAWA)
ISBN  : 978-4-04-892189-3
発行日 : 2016/6/25

Twenty Seventeenあれこれカスタマイズ中

長く自作テーマを使ってきたんですが、最近になってなんとなーく新しいテーマを使ってみたくなってきたので、公式で配布されている「Twenty Seventeen」をちまちま調整してみてます。
ある程度思いどおりにはなってきたような気がしなくもないので、そのうち見切り発車で切り替えるかもしれない。

『怪奇編集部『トワイライト』』[瀬川貴次/集英社オレンジ文庫]

数多くの怪異が絡んだ作品を書かれている作者氏の新作。今回は、大学の先輩の紹介でUMAや怪奇現象を扱う雑誌の編集部でアルバイトをすることになった大学生・駿(実家は神社で人並み以上?の霊感持ち)が遭遇する出来事を描いた短編集。

読んでいて、以前に別名義で何冊か出されていた短編集を思い出しました。以前の短編集で、日常に紛れ込んだ怪異や異物を普通に受け入れている人々やその状況を俯瞰して見たシュールさというかなんとも言えないユーモラスさが気に入っていたのですが、今作はその雰囲気に近い日常系ミステリならぬ日常系ホラーというか。笑える部分もありひやっとする部分もあり、気軽に読めて楽しかったです。個人的には1話目の女性霊の話と3話目の開運グッズお試しの話が好き。

あとがきを読んだ感じでは、シリーズ化されるのかな? 駿や他の登場人物の設定掘り下げもできそうですし、楽しみにしています。

作品名 : 怪奇編集部『トワイライト』
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著者名 : 瀬川貴次
出版社 : 集英社オレンジ文庫(集英社)
ISBN  : 978-4-08-680112-6
発行日 : 2016/12/16

『テスタメントシュピーゲル3(上)』[冲方丁/角川スニーカー文庫]

近未来の世界、テロの脅威に晒されている都市・ミリオポリスで戦う少女たちの物語、「テスタメントシュピーゲル」、最終幕の前編。

ちょっと駆け足展開と思うところもありましたが、それも含めて2巻終盤で復活した涼月が、復活した勢いそのままに物語を牽引していったような、そんな印象の1冊でした。彼女たちを取り巻く状況が困難で厳しいことはなにも変わっていないのに、ここに至るまでのように絶望的だ、とはちっとも思わなかったのが面白かったですね。
登場人物的には我らがMPB小隊長・涼月はやはり格好良いなあと惚れ惚れする一方、作中、「何でもかんでも殴って解決する」と評されてるのは的確すぎて笑いました。で、そんな涼月の存在が正しく影響している陽炎と夕霧、そして乙の場面はどんなに追い込まれていても逆転を信じられたし、実際に反撃が成ればテンションが上がりました。また、少し立ち位置の変わった雛はどうなるのかと思っていたら、ここで「先輩」たちと一緒に行動することになるとは……ますます某所就職コースが現実味を帯びてきたような。鳳については下巻での復活を楽しみにしてます、とだけ。あと、特甲猟兵たちにも(それが彼らにとって幸せなことかはさておき)光が届きそうな展開なのもちょっと嬉しかったりする。
敵側に関しては、未だに正体が明かされないムニンとサイクロプスの正体が気になるところ。普通に読んでいるとこのふたりかなーと思う人物は配されているんですが、ひっかけの可能性もあるしなあ。まあ、種明かしを楽しみにしておきます。あ、シャーリーンにはものすごく「ざまあみろ!」と言いたくなりました(笑)

様々な因縁の絡み合ったこの大事件がどんな結末を迎えるのか。少女たちはどんな未来に進むのか。3月発売予定の下巻がとても楽しみです。

作品名 : テスタメントシュピーゲル3(上)
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著者名 : 冲方丁
出版社 : 角川スニーカー文庫(KADOKAWA)
ISBN  : 978-4-04-472912-7
発行日 : 2016/12/28