『テスタメントシュピーゲル 1』[冲方丁/角川スニーカー文庫]

 近未来の世界、テロの脅威に晒されている都市・ミリオポリスで戦い続ける少女たちの物語。治安維持部隊MPB遊撃小隊が主役の「オイレンシュピーゲル」、公安局要撃小隊MSSが主役の「スプライトシュピーゲル」が合流しての完結編、とのこと。

 読み終わった直後の素直な感想は「続きはどこだーっ!」でした。いや、今までは曲がりなりにも1冊で一つの事件に決着がついていたので、ここまで強烈なヒキがくるとは思っていなかったというか。えーと、内容としてはスプライト組との接触は増加しているものの、視点はオイレン側で統一されていたこともあって、実質的にオイレンシュピーゲル5という印象の巻でした。とても簡単なあらすじは、これまでに起きたそれぞれの事件が複雑に絡まりあったある大きな事件が動き出し、少女たちも目前の敵だけでなく自身の過去と対峙することを余儀なくされる、いうところでしょうか。
 プロローグから「ちょっ!?」となり、これでもかというぐらいに容赦なく襲いかかる過酷な現実や失われた過去に幾度も打ちのめされ、しかし、そのたびに立ち上がって戦い続ける面々にうわーっとなり……なんかもう、圧倒されました。しかも、これでもまだおそらくクライマックスに至っていないと推測されるとかなんだそれ。オイレン4巻のあとがきによれば、テスタメントでは「成長と卒業」が扱われていることになるのでしょうが……凄まじすぎる卒業試験です。そして、少年少女が頑張っている裏側では、大人たちも因縁に決着をつけるべく動き出しているのですが、これがまた格好良い。大人には大人の戦い方があるということか。
 あと、これまでも肝心なところでは男前なところを見せてくれていた吹雪君は今回の件でさらに株が上昇。つーか、男前すぎませんか彼。最前線で戦う力こそないものの、大好きな女の子を守るために自分のできることは全てやり尽くしたうえ、終盤のあのメッセージ……反則すぎてもうどうしようかと思いました……(涙) 吹雪だけではなく、皆がそれぞれに死亡フラグが成立しまくっているという強烈な状態に置かれているものの、それでも最後にどん底から立ち上がった涼月の姿に、確かな希望を見た。今はもう、「皆頑張れ。死に物狂いで生き残って幸せになってくれ!」と祈るような気持ちです。

 これから本格的に行動開始、というところで幕になっているので一刻も早く続きが読みたいところですが、次は同じころにスプライト側ではどんなことが起こっていたのか、という話になりそうかな。そうじゃないと謎なことが多すぎるし……まぁとにかく、今は大人しく続きを待つだけです。

作品名 : テスタメントシュピーゲル 1
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著者名 : 冲方丁
出版社 : 角川スニーカー文庫(角川書店)
ISBN  : 978-4-04-472909-7
発行日 : 2009/11/28

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