2008年・私的お気に入りの本(一般小説編)。

続いて一般小説というか、ライトノベル以外の作品5点。一応、今年発売された作品でかつ以前に読んだ作品の復刊や文庫化等は除く、というしばりを設けてます。

『出星前夜』[飯嶋和一/小学館]
島原の乱を一般的に定着している宗教弾圧から生じた反乱としてではなく、失政から起きた反乱として描いた作品。寡作な作者の数年に一度の新作は、やはり読みごたえがありました。
何しろ島原が題材ということで『神無き月』並の絶望を予想していただけに、ラスト付近の彼の想いと選択、そしてタイトルの意味が分かる物語の結末に、救われたような思いでした。

『テンペスト (上) 若夏の巻・(下) 花風の巻』[池上永一/角川書店]
末期の琉球王朝を舞台に、数奇な運命のもとに生まれた女性の一生を描いた歴史幻想物語。氏の作品にしては暴走抑えめながら、やっぱりジェットコースターな展開とキャラの濃さで最後まで楽しませていただきました。

『トルコ狂乱 オスマン帝国崩壊とアタテュルクの戦争』[トゥルグッド・オザクマン/三一書房]
戦間期に勃発した希土戦争の経緯を、多様な立場の人々の動きを追うことで(トルコ寄りではあるものの)多角的描いた群像劇。歴史オタク的興味のツボをピンポイントで攻められた。
今年の一般系は、これと『出星前夜』が読めただけで満足。

『忍剣花百姫伝5 紅の宿命』[越水利江子/ポプラ社Dreamスマッシュ!]
なまくらどもの記録」のおむらよしえさんと「みりおんぐらむ」のt-snowさんの感想で興味を持って一気読みしてみたのですが、なかなか面白かった。
児童書ながら、正統派の伝奇時代小説。時間移動という大技も駆使しつつ、展開的にシビアなところはシビアなのが良い。いろいろと状況が変化し、これから彼らの戦いの行方が気になるところ。

『訪問者ぶたぶた』[矢崎存美/光文社文庫]
もはや年一回の新刊が定番になった感のあるぶたぶたシリーズ最新刊。読んでてなごみます。

次点は『天使の歩廊 ある建築家をめぐる物語』(中村弦)と『カッパドキア・ワイン 銘醸地ブルゴーニュ誕生秘話』(薗田嘉寛)あたりかな? どちらもファンノベ大賞絡み。両作品とも、もう一味があればもっと好みだったんだけどなー。

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