『マーベラス・ツインズ契2 めぐり逢い』[古龍/GAMECITY文庫]

 『絶代雙驕』邦訳第5巻。今回は江別鶴の化けの皮を剥ごうとあれこれ画策する小魚児や、鉄心蘭と行動を共にする中で次第に心を動かしていく花無缺、そしてある出来事をきっかけに2人の関係に大きな変化が訪れる様子などが描かれています。ちなみに、原書の64章序盤あたりまで消化。

 とりあえず前半の見どころは、江別鶴と慕容家を相対させようとあれこれ画策する小魚児の奮闘ぶりですね。十大悪人の一人白開心まで駒として策謀を巡らす姿は、さすが天下の悪児という感じ。しかし、完璧に思えたその計画が思わぬところから狂いを見せていったことで己の未熟さを、さらに慕容家との決闘で江別鶴の代理を務めた花無缺のヒーローとして完璧に近い対応を見せつけられたことで、彼との差を改めて思い知らされるという展開が、なかなか主人公にも甘くなくて面白いなーと思います。一方、花無缺については、鉄心蘭と共に過ごす中で移花宮で凍らせていた自身の心が融けはじめ、人形としてではなく人としても成長している様子が伺えるのが良い感じ。そんな彼が、「彼女を好きになってはならない(宮主に殺されてしまうから)」と自身を戒めつつ、小魚児を想う鉄心蘭へ掛ける言葉の数々はなんとも切ないです。
 で、そうこうしている最中に、小魚児と悪人谷を出てきた育ての親5人との再会が。……普通なら感動の再会劇となりそうなところが、単純にそういう雰囲気にならないのは彼らの性格上仕方がないですね。まぁでも、燕大侠の影にびくびくしている様子とか小魚児に見せる微妙に甘い態度とかはちょっと笑えましたが。しかし、そんなほのぼの気分も吹き飛ぶ欧陽兄弟への仕打ち。こういうところを見せつけられるとやっぱり彼らは悪人揃いだよなーとしみじみ思いつつ、これが小魚児の心にとって大きな転機となったのはまぁ救いといってもいいのかな。
 あと、各方面に波紋を呼んだ燕大侠の再登板。彼絡みでは、誤解からいきなり結婚させられかける花無缺と鉄心蘭の2人や、遠目にその姿を見ただけで震えあがる江別鶴、そして武芸では今まで他に後れを取らなかった花無缺が圧倒される様など見どころはほぼ全部なのですが、一番印象に残るのはやはり、倒れた花無缺を庇う小魚児&その後のやりとりですかねー。小魚児の成長を目の当たりにして、なんとも感慨深かったです。あとこれで、もう少し女心が分かればいいのにねぇ、としみじみ思った(ないものねだり) ……それにしても、おおまかにしか展開が分かってないだけに、細かい部分でああそうかーここでちゃんとそういう描写があったのかーと気がつくこと多々だったりする今日この頃(←せっかく原書買ったんだから、もうちょっと気合い入れて読もうよ自分)

 さて、期間限定で「友人関係」になった小魚児と花無缺の前に、次はどんな難関が待ち構えているのか。それが語られる次巻は10月とのことで。江別鶴親子の陰謀卑劣云々というなら、75章あたりまでは行くのかなー、まぁ今のペースだとちょうどあのあたりでヒキってところかなーと勝手に納得しつつ、この先もまだ増える登場人物たちの出番も合わせて、楽しみに待ちたいと思います。……でも、今一番出番を待ってる某人の出番は、多分その次の巻ぐらいになるんだよなぁ(遠い目)

作品名 : マーベラス・ツインズ契2 めぐり逢い
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著者名 : 古龍(川合章子:訳)
出版社 : GAMECITY文庫(コーエー)
ISBN  : 978-4-7758-0674-6
発行日 : 2008/8/19

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