『ラスプーチンが来た 山田風太郎明治小説全集11』[山田風太郎/ちくま文庫]

 山田風太郎の明治モノの中では珍しい長編作品。内容を一言で言うと、日露戦争時スパイとして様々な活躍をした明石元二郎の若き日の冒険物語。ちなみに、連載時のタイトルは『明治化物草紙』。その初出タイトルどおり、明石やラスプーチンだけに留まらず、乃木希介に二葉亭四迷に内村鑑三、チェーホフといった歴史上の面々も続々登場し、それぞれの形で話に絡んできます。

 とりあえず序盤のうちは、得体の知れない占い師・稲城黄天に目をつけられた令嬢・竜岡雪香を守っての破天荒な明石の活躍が痛快。やりこめたと思ったら反撃されて……と、手を変え品を変えての応酬が続く中、やがてラスプーチンまで来日・話に絡んできて、物語は意外な方向へ。小説ならではのifを重ねて紡ぎだされる「大津事件」の真相は、そういう風につなげてくるのかと感嘆することしきり。

 ……と、マクロでは間違いなく面白い作品なのですが、ミクロでは正直微妙に感じる部分もあり(個人的には、後半まとめに入りかけたあたりからやや失速した感がある) ラストも評価が分かれるところかなぁと思いますが、個人的には嫌いではないです。この敗北があって、序盤で述べられたような活躍に繋がっていくんだろうなーとか、その後をいろいろと想像できて楽しいので。

作品名 : ラスプーチンが来た 山田風太郎明治小説全集11
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著者名 : 山田風太郎
出版社 : ちくま文庫(筑摩書房)
ISBN  : 978-4-480-03351-2
発行日 : 1997/10

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