『王の眼 第1巻』[江森備/角川書店]

 私が今現在、唯一作者買いしているBLというよりJUNE作家の人の、エジプト神話をモチーフにしたシリーズ(3年前に全4巻で完結) なんとなく読み返したい気分になったので再読。なお、1~2巻はそっち系の描写はあまりないので苦手な人でも大丈夫、かも。で、そこで「この程度なら大丈夫」と軽い気持ちで3巻に出を出したら、そこからいきなりスイッチ入って物凄いことになってるので、普通に死ねると思います。

 それはさておき、簡単に感想。古の掟が息づく国、タ・ウィで、医師の母アセトと義理の兄アンプの二人の家族とともに暮らしていた少年ハル。彼は15歳となったアケト(増水季)の折、アセトがタ・ウィの玉座の正当な継承者「一の王女」であり、自身の父が謀殺された先王ウシルであったと知らされる。事実を知ったハルは、かつて父を弑して玉座を奪い、今また母を攫った現王セティとの戦いに身を投じることに――というのがおおまかなあらすじで、1巻冒頭の段階ではいわゆる普通の貴種流離譚。
 多少考えなしながらも明るく不思議と魅力を感じさせるハルと、年長者らしい冷静さと思慮の深さを備えたアンプの兄弟が、互いを補って玉座を奪還していく、という筋立てでこのまま普通に話が進むのかと思いきや、中盤辺りでアンジェトというウシルの出身氏族が絡んできてからどんどんその雲行きが怪しくなっていき……。とりあえず、アンジェトに良いように丸め込まれるハルは純粋といえば聞こえは良いけど、言われたことを鵜呑みにするだけじゃなくてちゃんと頭使って考えようよと言いたくなってきます。おまけに最後はあんな行動しだすしさー。そんなハルと対照的に、努めて自分を見失わないように心がけるアンプ寄りの心情になりますね、この時点では。

作品名 : 王の眼 第1巻
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著者名 : 江森備
出版社 : 角川書店
ISBN  : 978-4-04-873253-6
発行日 : 2001/2/2

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