『闇の守り人』[上橋菜穂子/新潮文庫]

 短槍使いの女用心棒バルサの物語、文庫版第2巻。

 チャグムの用心棒を終えたことで自身の過去と向き合うことにしたバルサは、幼い頃王家の陰謀に巻き込まれ、養父ジグロと共に逃げだした故国カンバルへと足を向ける。そんな想いと裏腹に、彼女の帰郷をきっかけとしてカンバルでは様々な「闇」が動き出す――と、そんな展開。
 「精霊」と同様に少年の成長物語という側面もありますが、今回はあとがきにもあるようにバルサが過去と自分の気持ちにけじめをつける話なので、自然と彼女の存在が「精霊」より前面に出てきている感じ。
 養父ジグロを貶めた陰謀とカンバルに富をもたらす「山の王」からの青光石〈ルイシャ〉贈りの儀式が絡み、バルサは故国の存亡に関わる大舞台に引き出されることになるのですが。ジグロへの思いと自身の人生を大きく狂わされた怒りを無理に抑えるでもなく、時には吐き出しながら、ある役目を任された少年の用心棒として舞台に向かうバルサの姿が印象的ですね。そして、「槍舞い」の場面はまさに圧巻。相手があの人というのは描写などからなんとなく予想できましたが、そこで伝わってくる想いというのが……なんというか、やっぱり綺麗ごとだけじゃすまないよなぁと……。しかし、あの描写があったからこそ、それが昇華されていく様に心が震えました。あと、謎に包まれた「山の王」と青光石〈ルイシャ〉贈りの儀式の姿は、非常に幻想的で美しかったです。
 そして、諸々の過去に一区切りをつけたバルサが、日常の風景からふとタンダを思い出し、「ヨゴに帰ろう」と考える場面が彼女たちの絆を感じられて何気に良かったなー。

 ヨゴに戻ったバルサが、次にどんな事件に遭遇するのか。7月上旬予定の軽装版でも読めますが、文庫化も待ち遠しいですねー。

作品名 : 闇の守り人
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著者名 : 上橋菜穂子
出版社 : 新潮文庫(新潮社)
ISBN  : 978-4-10-130273-7
発行日 : 2007/6/28

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